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第十五話 仮住その十四

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「庚の今の言葉は」
「私は人間は嫌いではないということね」
「ええ、地の龍だから」
「人間を滅ぼすわね」
「その私達を束ねる貴女がそう言うなんて」
「そのままよ、人間を滅ぼしてもね」
 今も本心を隠して話した。
「人間自体はね」
「嫌いじゃないの」
「そうよ」
 今度は本心を話した。
「私はね」
「そうなの」
「だからね」
 それでと言うのだった。
「??にも言うのよ」
「天の龍とも会って話をする様に」
「そうね、貴女も遊人もね」
 二人もというのだ。
「そうしてもよ」
「いいのね」
「そうよ」
「そうなのね」
「戦わない時は」
「そうしてもいいのね」
「しなくてもいいけれど」
 それでもというのだ。
「いいわね」
「そうしたいのなら」
「そう、会って話をして」
 そしてというのだ。
「遊ぶこともね」
「していいの」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「人を知っていくことよ」
「おかしなこと言うわね」
 颯姫にはそう思えることだった、それで率直に言った。
「人間を滅ぼすのに人間を知れと言うなんて」
「だからそのことね」
「やがてわかるのね」
「貴女もね」
「そうかしら。知るべきことは全て一度にわかる」 
 颯姫は素気なく応えた。
「そうしたものよ」
「そうしたこともよ」
「わかるの」
「ええ、やがてね」
「ではね」
「ええ、そのことを覚えておいてね」
「貴女が言うなら」
 それならともだ、颯姫は話した。
「わかったわ」
「信じてくれるのね」
「信じる信じないではなくて」
 そうではなくとだ、庚に返した。
「貴女の言うことは正しい」
「だからなの」
「そのことがわかるから」
 だからだというのだ。
「わかったわ」
「それではね」
「人と会って話をしていって」
「天の龍達とも」
「そうしていってね」
 こう言うのだった、そしてだった。
 庚達はそれぞれの場所に戻った、そのうえで日常に戻ってそうしてそれぞれの暮らしの中に戻ったのだった。


第十五話   完


                  2023・2・8
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