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第七十五話 合宿最後の日その十

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「軍服も行進も」
「特にあの行進ね」
「膝変に上げるね」
「それで敬礼も何か変だし」
「表情が顔芸みたいになって」
「そんな軍隊にはよ」
「何も言わないのね」
「もう国民餓えて」
 そうした状態でというのだ。
「ミサイルだけどんどん打っていて」
「乱射みたいに」
「それで将軍様だけ太っていても」
「何も言わなくて」
「自衛隊や皇室や昔の日本に言うのよね」
「いや、矛盾してるわね」
「天皇陛下を戦犯とか言って」
 これもよく言われたことである、二次大戦の責任ということで戦後昭和帝についてよくこう言っていたのだ。
「それであそこの将軍様の悪事はよ」
「スルーね」
「どう見てもね」
 それこそとだ、かな恵は言った。
「あの将軍様、初代は主席様だったわね」
「あの偽物だったっていう」
「そうそう、英雄というのが」
 抗日の金日成将軍という触れ込みであったがだ。
「嘘だったのよね」
「最初からよね」
「何か強盗みたいなことやって日本軍に追い立てられて」
 どうもこれが実情らしい、金日成はあくまで伝説だったのだ。
「ソ連に逃げて」
「そこで活動していて」
「戦争終わったらやって来たのよ」
「それが主席様ね」
「そうみたいよ」
 その証拠に金日成将軍にしてはあまりにも若く活躍したという年代とどうにも合わなかったのだ。その人物はまだ三十代前半であったので。
「本名は金聖柱とかね」
「いうの」
「それであそこに入ってね」
「ああなったのね」
「邪魔な人どんどん消してね」
 まさに文字通りにである。
「そうしてね」
「そのうえでなのね」
「代々継がせる様にしたのよ」
「まさに悪の独裁者ね」
「その悪の独裁者がよくてね」
「日本の皇室は駄目」
「そんな考えなのよ」 
 皇室、自衛隊、戦前の日本が嫌いな者達はというのだ。
「どう考えてもおかしいから」
「かな恵ちゃんもそう思うのね」
「自衛隊駄目なら災害の時どうするか」
「救助隊の人達いてもね」
「何かそうした人達だけで十分で」
「自衛隊いらないの」
「平気でそう言うのよ」
 それも大震災の傷跡が残っている状態で、である。
「自衛隊の人達が沢山の人達を助けても」
「まさに何もわかってないわね」
「それで助けられても感謝しない」
「自衛隊に」
「一切ね」
「何か色々おかしいわね」
「でしょ?だからそんな人にはなりたくないわ」
 絶対にとだ、かな恵は言い切った。
「本当にね」
「まあそれは誰だって思うわね」
 ウェールズの娘もそれはと応えた。
「常識あったら」
「そうよね」
「そんなのね」
 それこそというのだ。
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