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冥王来訪
第二部 1978年
影の政府
賊徒の末路 その2
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、別なトレンチコート姿の男は不敵の笑みを浮かべ、
「ただ、君たちとお話がしたくてね」
「話だぁ?」
囚人たちは、口々に好き勝手なことを口走った。
「俺たちは法律で守られる権利がある。」
「なあ、あんちゃん、俺たちを殺しに来たのか。殺しは法に反してるから無理だよな」
囚人の一人が、深緑の日本兵の服を着た男の肩をたたく。
「俺たちを逮捕しに来たのかい。早く令状を見せなよな」
からかわれた青年は、にっこりとほほ笑んだ。
「そんなものは、ない」

「何!」
 その場に衝撃が走った。
周囲の人間はその言葉を受けて、たちどころに凍り付た表情に変わる。

 
「俺には法律は通用しない。なぜなら既に、二度死んだ人間だからな」
目の前の日本兵は、判決を言い渡す司直の如く、冷徹に答えた。

 囚人の代表格の男が、飛び出して、日本兵に答えた。
「日本を支配する旧態依然とした反動勢力、五摂家から解放するためには暴力が必要なのだ」

 日本兵の服装をした男はマサキだった。
彼は、囚人の頭目に蔑みの目を向けながら、応じる。
「革命?闘争だと?たわけたことを抜かしおって、笑わせてくれるわ。
ソ連のKGBにいいように使われた、間抜けの癖をして……」
「ソ連や中共、PLFPやシュタージの手を借りたのは、その手段にしかすぎん。
この、日本政府の犬野郎め!」
マサキは天を向いて、高らかに笑った。
「フフフ、情けないのう、みじめよのう。
自力で暴力を使い、革命もできぬのとは……」

 満面の笑みで、自動小銃を構えなおす。
「じゃあ、俺が本当の暴力とやらの手ほどきをしてやるよ」
M16小銃の槓桿を強く引き、弾倉内の銃弾を薬室に送り込む。
「待って、待ってくれ。は、話せばわかる」
親指で安全装置を解除し、連射の位置に動かす。
「この冥王、木原マサキが手づから裁いてやるのだ。喜んで死ねぃ」
そういうと三人の男たちは一斉に囚人に向け、機関銃から弾丸を放った。

 鎧衣の持つイングラムM10短機関銃は、轟音と共に火を噴き、囚人たちをハチの巣にした。
その場から逃げ出そうとするものを見つけると、マサキは躊躇いもなく小銃で両足を打ち抜いた。

「助けてくれ、俺たちは、お前に何もしてないだろう」
命乞いを無視しながら、マサキは、銃弾を胸に打ち込んだ。
「今になって懺悔(ざんげ)の言葉などを口走るとは……。
俺ではなくて、貴様らが手に掛けた人間に言うべきだったな」 
 

 鎧衣と白銀が、機関銃で、殺人マシーンの様に、冷徹に囚人たちを処刑している間。
囚人の代表格の男の事を、マサキは部屋の隅に追い詰めた。
そして、KA-BARの茶色い革の鞘に入った短剣を投げ渡す。
「木原よ。お前は欲深い男よ」
男は、短剣をぴゅ
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