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おっちょこちょいのかよちゃん
277 吐き出された本音、そして絶望
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だったんだい?」
「あ、あれは、本当の私じゃないわっ!何かの催眠術に掛かってたのよっ!」
「そ、そんな・・・」
 藤木は傷ついた。祝言が終わった後からりえが自分に好意的になったのはあれは彼女の本心ではなかったのだ。自分は儚い楽しい夢を見せられていただけだったのか。
(そんな・・・、そうなんだ。りえちゃんは僕にはちっとも気がないんだ・・・。僕は笹山さんの事も忘れたし、もうそうなると、僕は誰を、好きになれるんだ・・・。誰が僕と一緒にいてくれるんだ・・・?)
 藤木は今ここに好きなはずの女子といるのが急に辛くなった。
「そっか・・・。ごめんよ、りえちゃん・・・。僕は君が好きになったのに、君は好きじゃなかったんだね・・・。無理に連れて来てごめんよ・・・」
 藤木は二度目の好きな人から嫌われた絶望を味わった。前の世界で野良犬に遭遇した時、山田かよ子を見捨てて逃げた時も笹山から失望された。そして今はりえから拒絶されている。りえがこの屋敷に来たばかりの時もりえから驚かれて受け容れられなかった。祝言の後は自分に好意を持ってくれたのかと思ったが、そうでもなかったのかと思うとますます心が痛む。
(・・・、僕は、僕は・・・!!)
 だがりえから嫌われても笹山とよりを戻そうとは思わない。現に笹山が迎えに来た時と拒絶した。藤木はボロボロ涙が(こぼ)れ始めた。藤木は泣くのを我慢できず、部屋を出た。

 三河口、湘木、そして冬田の三人はは東の方角へと急ぐ。目的地は藤木救出班と同じ場所だった。三河口は見聞の能力(ちから)よりある事を察した。
「敵とは別の感触がする・・・。かよちゃん達が来たのか、それともありちゃん達が目的地に着いたのか、それともまた別の誰かがいる・・・」
「もしかして大野くうん?」
「そこまで解らん。だがレーニンも接近している」
 そして三河口は北の方角を振り向いた。
「・・・追いつかれたか」
「久しぶりだな、小僧」
「レーニン!!」
 三人は戦争主義の世界の長と遭遇した。
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