第十一章
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「わかったか。それでだ」
「ええ」
琢磨は彼の言葉に頷くだけであった。どうにもこの男にも勝てないものを感じていた。人間でしかないのに妙だとは思いながら。
「河豚食いに行くぞ」
「河豚、ですか」
「そうだ、いいな」
「わかりました」
そんな話をしながら琢磨は消えていった。長田と啓太郎はそれに気付くことなくそのまま道を進む。二人は喫茶店や遊園地で二人きりの時間を過ごした。気付いた時にはもう夜になってしまっていた。二人は駅前の道を並んで歩いてそこから二人で川辺の道を歩いていた。
「これからどうします?」
「啓太郎さんのお家に行っていいですか?」
「俺の家ですか」
「はい、そこでまた楽しくやりましょう」
にこりと笑ってこう提案する。
「どうですか?」
「いいですね、それ」
啓太郎としては断る理由はなかった。笑顔で頷く。
「それじゃあそれで」
「はい。コンビニでビールでも買って」
そんなよくある話をしていた。だがそこで目の前に一人の青年が姿を現わしたのであった。
「へえ、久し振り」
それは北崎であった。にこにこと笑って手を合わせて二人の前にやって来る。
「生きていたんだ。影山さんにやっつけられたって聞いたのに」
「貴方こそ。死んだ筈なのに」
「生き返らせてもらったんだ。王様にね」
「王様!?」
「オルフェノクの王だよ。照夫君に潜んでいた」
「そんな、あの子が」
それは長田にとっては衝撃的なことであった。その話を聞いて思わず息を飲む。
「オルフェノクの王に」
「うん、けれど王はあの時たっ君達に倒された筈だったのに」
「それが生きていたの。影山さんのおかげでね」
「そうか、そういえばあの女いなかった」
啓太郎は北崎のその言葉で気付いた。影山冴子ことロブスターオルフェノクは生きていたのである。そう、彼女は最後の戦いでも姿を消していた。それに気付いたのであった。
「だからか」
「生き返ったのは僕だけじゃないよ」
北崎は言う。
「他の皆だって」
「まさか」
「そうさ」
澤田亜季が北崎の右手から出て来た。
「僕だってね」
「くっ」
「そして俺もだ」
左手からジェイが。ラッキーグローバーの面々であった。
「三人だよ。さあ、どうするんだい」
「啓太郎さん」
長田は啓太郎の前に出て来た。
「ここは私が。だから」
「待って、君だけじゃとても相手には」
「けれど」
「海堂さん呼ぶから。いや、たっ君達も」
啓太郎は慌てて携帯に電話する。そしてすぐに人を呼ぶ。
「海堂さんですか?はい、ラッキーグローバーが。その」
「死んだだろ、あいつ等」
「それが生き返ってるんですよ、だから」
「わかった、すぐ行く」
海堂はそれに頷いた。そしてすぐに乾達にも電話をかける。
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