第七十五話 合宿最後の日その二
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「流石にね」
「それかチーズケーキみたいな外見でご飯とネタが一緒にある」
「それもないわね」
「そういうのじゃなくて」
「ちゃんとしたお寿司で」
「回転寿司屋さんで驚いたわ、それでね」
かな恵にさらに言った。
「本格的なお寿司屋さん、今度は明石のね」
「あそこで食べたの」
「その時も家族でね」
その集まりでというのだ。
「食べたけれどこの時もね」
「本物はこうだってびっくりしたのね」
「いや、本職さんが握ったお寿司って」
そちらの寿司の話もするのだった。
「滅茶苦茶美味しいわね」
「それはね」
何と言ってもとだ、かな恵も答えた。もう酒を飲みはじめている。
「やっぱりね」
「高かったけれど」
「寿司職人の人が握ると」
「別格よね」
「本当にね」
「そうよね、それでね」
この娘も酒を飲みはじめつつ応えた。
「来日してよかったってね」
「ご家族の人達と一緒に思ったのね」
「お刺身食べて天麩羅食べて鳥鍋も食べてね」
「鳥鍋もなの」
「いや、鳥鍋一家全員好きだから」
かな恵に飲みつつ笑って答えた。
「それでよ」
「感激したって言うのね」
「あとお豆腐ね」
「お豆腐もいいわよね」
「鳥鍋にも入れるわよね」
「お鍋には欠かせないわよね」
「そのまま食べてもいいしね」
「そうそう、お豆腐私も好きよ」
かな恵は飲みつつ笑って応えた。
「あっさりしてて食べやすいしね」
「かな恵ちゃんだったらおつまみにする?」
「勿論よ」
当然という返事だった。
「もうお豆腐があったら」
「それで充分?」
「冬は湯豆腐だったら」
この料理ならというのだ。
「それだけでね」
「いいのね」
「最高よ」
こうまで言えるものだというのだ。
「もうね」
「湯豆腐ね」
「冬はね」
「それじゃあ夏は」
「冷奴よ」
言うまでもないという返事だった。
「勿論ね」
「何かね」
この娘はここでこう言った。
「泉鏡花さんはね」
「作家さんの」
「あの人夏でもよね」
「湯豆腐だったのよね」
「そうみたいね」
「お豆腐好きで」
好物だったという。
「それでね」
「湯豆腐派だったの」
「夏でもね」
「それって暑いでしょ」
「今ここで湯豆腐出ても」
かな恵はカレイの握りを食べつつ言った、今豆腐はなくそちらを食べているがそれでもその話をするのだった。
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