第四章
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「高校も大学も卒業してね」
「就職してね」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「結婚したら」
「そうしたら」
「もうね」
それこそというのだ。
「あっという間だったわ」
「それであんたもね」
「子供も孫も出来たわ」
「お互いそうよね」
「お姉ちゃんも大学出て就職もして」
「それから柳吉さんと結婚してね」
「五十年よ、それでだけれど」
姉は妹にあらためて言った。
「約束覚えてるわよ」
「金婚式になったら」
「お祝いしてもらうってね」
「覚えてるわ、じゃあね」
「ええ、楽しみにしてるわ」
「そうしてね」
こう話してだった。
姉妹で笑顔で話した、そのうえで。
実久は和佳奈に金婚式の時に二人にそれぞれ金時計をプレゼントした、二人はそのプレゼントに喜んだが。
この時も和佳奈と柳吉は非常に親密で。
お互いにべたべたとしていた、実久はその彼女を見てまた言った。
「全く、ずっとこうなんだから」
「家でもこうなんですよ」
「私達が小さい時から」
二人の息子と娘が叔母にあたる彼女にどうかという顔で話した。
「お家の中でべたべたして」
「お互いのことばかり話して」
「一緒にいて」
「仲良くしていて」
「凄いんですよ」
「喧嘩なんてしなくて」
「それがね」
まさにとだ、実久は甥と姪に話した。
「二人が付き合ってからね」
「こうだったんですよね」
「ずっと」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「どうかと思ったけれど」
「こうしてずっと一緒にいて」
「金婚式を迎えられたから」
「だからですね」
「そのことはですね」
「いいことよ、ずっと仲がいいのなら」
それならというのだ。
「いいわ、ただね」
「ただ?」
「ただというと」
「姉さんはずっと柳吉さんのことばかり言ってて」
「交際している時も」
「結婚前からですね」
「それがね」
どうにもと言うのだった。
「やれやれと思ってたわ」
「ですよね、僕達も思いますから」
「時々でも」
「それでもずっと一緒に仲良く出来たのなら」
和佳奈が高校生まだ少女だった頃からというのだ。
「それならね」
「いいですね」
「それなら」
「ええ、幸せなら」
それならというのだ。
「いいわ、じゃあ今日はね」
「お父さんとお母さんをお祝いしましょう」
「皆で」
「そうしましょう」
こう話してだった。
実久は姉に笑顔を向けた、そのうえで。
今の和佳奈を見た、その顔は年齢を重ねたが表情は高校生の頃から同じだった。それは彼女の隣にいる柳吉も同じで二人はあの時からのままだった、実久はその時から続いている幸せを今は笑顔で見られた。
少女ラプソディー 完
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