第二章
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「お姉ちゃん織田さんのお話ばかりじゃない」
「柳吉君のこと?」
「そうよ、彼氏さんのお話なかりじゃない」
「だってね」
和佳奈は妹に答えた。
「学校で言うなってね」
「織田さんのことばかり言うからよね」
「それでそちらでは言わなくなって」
「ネットで言う様になったのね」
「けれどお家にいるとね」
そうなると、というのだ。
「言うなって言われてないし」
「言うのね」
「駄目?」
「いつもそのお話ばかりじゃない」
クラスメイト達と同じことを言った。
「それじゃあよ」
「嫌なの」
「耳にタコが出来るわ」
昔からある言葉をそのまま出した。
「もうね」
「私そこまで言ってるのね」
「言ってるわよ、もうね」
それこそと言うのだった。
「たまには他の話題をよ」
「聞きたいの」
「何でもあるでしょ、学校のこととか部活のこととか」
「ずっと柳吉君のこと見て考えてるから」
「学校にいる間も」
「授業や部活には専念してるけれど」
それでもというのだ。
「他の時はね」
「織田さんのこと考えてるの」
「文芸部の時は一緒だし」
女子バレー部と掛け持ちしているこの部活にいる時はというのだ。
「その為に入ったし」
「全く、何処まで好きなのよ」
「何処までもよ、もう好きで好きでね」
それでというのだ。
「たまらないのよ」
「完全にのろけね」
「それ学校でも言われるわ」
「全く、そんな調子でずっといるの?」
「駄目?」
「若しそれが七十過ぎてもよ」
それだけの年齢になってもというのだ。
「言えたら認めてあげるわ」
「認めるってどういうことよ」
「本物だってね、初恋は実らないって言うでしょ」
「私それで付き合えたけど」
「それでもよ、その想いがずっと続いて」
実った初恋のそれがというのだ。
「それでよ」
「七十過ぎまで続いたら」
「そうね、二人が結婚してね」
妹は少し意地悪な笑みになった、そのうえで姉に話した。
「金婚式でも迎えたら」
「その時はなの」
「認めてあげるわ」
こう言うのだった。
「その時はね」
「そうなる様にするわ」
「言うわね、今十六でしょ」
姉の年齢の話もした。
「それが七十過ぎまでよ」
「続いてなのね」
「それで結婚してね」
そうしてというのだ。
「金婚式までよ」
「続いていたら」
「私も認めるわ、まあそうなることはね」
意地悪な笑みのまま言うのだった。
「そうそうないわよ」
「そうかしら」
「そうよ、若しなったら」
その時はとだ、実久はまた言った。
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