第一章
[2]次話
守備も上々
西本幸雄は近鉄バファローズの監督になり早々に選手達を厳しく指導しだしたがその中でコーチ達に話していた。
「土井の他に長打打てるのが欲しいな」
「今うちには若いのいますがね」
「羽田に栗橋、佐々木に平野と」
「キャッチャーの梨田や有田もです」
「若手で長打打てそうなのいますが」
「皆育ててからや」
西本はコーチ達が挙げた選手達について冷静に述べた。
「今は確実性がない」
「いきなり打ちませんか」
「羽田達はそうですか」
「すぐはないですか」
「そやな、四年か五年育てたらな」
そうすればと言うのだった。
「全員安定して打つバッターになるが」
「それでもですか」
「今すぐは打ちませんか」
「土井みたいには」
「そや、今すぐはないさかいな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「すぐに打てるバッターですか」
「それが欲しいですか」
「うちには」
「実はもう一人見付けてるんや」
西本はその如何にも頑固親父とった顔を笑わせて話した。
「助っ人でな」
「助っ人ですか」
「誰ですか、一体」
「助っ人といいますと」
「ジョーンズや」
ここでこの名前を出した。
「南海におったな」
「ああ、あの南海をクビになった」
「あのジョーンズですか」
「あいつを獲得しますか」
「南海をクビになったし丁度ええ」
西本は笑ってこうも言った。
「うちが獲得するで」
「しかし監督」
コーチの一人がここで西本に怪訝な顔になって言ってきた。
「ジョーンズは確かに長打が期待出来ますが」
「三振が多いな」
「あまりにも、そうですさかい」
だからだというのだ。
「南海もクビになりました」
「ノムがこれはあかんって思ってな」
「はい」
まさにというのだ、南海の監督でありキャッチャーも兼任している野村克也がだ。
「切りました」
「そやな、しかしな」
「それでもですか」
「わしが思うにあいつはバッティングフォームを少し変えたらな」
そうすればとだ、西本はそのコーチに話した。
「比較的安定してな」
「打ってくれますか」
「あいつやったらホームラン王もや」
このタイトルもというのだ。
「獲ってくれるで」
「うちの選手がまだ獲ったことのない」
「それもや」
まさにというのだ。
「そうしてくれるで」
「そうですか」
「そやからな」
だからだというのだ。
「ここはな」
「ジョーンズをですね」
「獲るで、ええな」
「ほな」
「動くで」
ジョーンズ獲得にとだ、こう話してだった。
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