第二章
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「あいつを敬遠させたらな」
「ランナー出ても次のバッター抑えたらいいしな」
「それで何とかなる」
「けれどルースの後にゲーリックがいる」
「あいつが四番にいるからな」
「とんでもない勝負強さだ」
ゲーリック、彼はというのだ。
「長打力もあるがそれが一番まずい」
「打率もいいしな」
「出塁率なんて四割以上だぞ」
「あんな奴がルースの後ろにいるんだ」
「三番がルースだ」
その彼がというのだ。
「一回でいきなり出て来る」
「そのルースにまず打たれてもまずい」
「そこで次ゲーリックもなんてな」
「余計にまずいぞ」
「本当にな」
「どうしたものだ」
こう話すのだった、ヤンキースの相手チームのファン達は。
「どっちかだけなら敬遠してもいいが」
「二人共なんてな」
「強過ぎるぞ」
「百十勝以上するのも当然だ」
「こんな強いチーム他にあるか」
心から忌々し気に言うばかりだった、兎角だ。
ルースとゲーリックがいるヤンキースは無敵だった、それでだ。
ルースはゲーリックに試合の後でステーキハウスに行き大好物のステーキを平らげやはり大好物のビールを浴びる様に飲みつつ彼に話した。
「今日も勝ったな、それもだ」
「俺と貴方がいるからか」
「ああ、俺はずっと思っていたんだ」
自分とは正反対に落ち着いた感じで飲んで食べるゲーリックに話した、やはり映画俳優の様である。
「俺の後でな」
「打つ人間が欲しい」
「ああ、俺だけが四番にいるよりもな」
それよりもというのだ。
「俺が三番でな」
「俺が四番か」
「こうなった方がな」
「遥かにいいか」
「ああ、それで実際にだ」
「今のヤンキースがあるか」
「そうだ、俺とお前がいる限りな」
それこそというのだ。
「ヤンキースは敵なしだ」
「じゃあこれからもですね」
「二人で打っていくぞ」
「そうしていきましょう」
二人は同時に手を出した、そうしてだった。
笑顔で握手をした、そのうえで次の試合も共に活躍した。
ベーブ=ルースとルー=ゲーリックの二人が三番と四番であった時のニューヨークヤンキースはスポーツ史に残る最強チームだったと言われている、一シーズンに百十勝以上を挙げるという驚異的な成績を残したことからもそれがわかるだろうか。兎角この時のヤンキースは強かった。だが。
「もうあんな組み合わせは出ないだろうな」
「絶対にそうだな」
「ルースも凄かったがゲーリックも凄かった」
「二人共メジャーの歴史に永遠に名前を残してるからな」
「一人でもそうそう出ないんだ」
「それが二人なんてな」
「もう出るなんてことはないな」
その頃を知る者も歴史で学んだ者も口々に言った。
「ルースはよくゲーリックを見出した」
「そしてゲー
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