第二章
[8]前話
「だから大きくなればな」
「船になる」
「そうなるのですね」
「まさに」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「胡桃をだ」
「心正しきものを救う船にされたのですね」
「この度は」
「そうされたのですね」
「そうしたのだ」
天使達に対して話した。
「この度はな」
「まさかと思いましたが」
「胡桃の実を出された時に」
「どうされるかと思いましたが」
「こういうことだ、ではだ」
神はさらに話した。
「洪水は収まったしな」
「それではですね」
「心正しき者達がどう生きていくか」
「それをですね」
「見守るのですね」
「そうする、何かがあれば」
その時はというのだ。
「よいな」
「助けますね」
「世界にいる者達を」
「神は」
「そして神の僕である我々は」
「そうするのだ、それとだ」
神はここで胡桃を手にした、そのうえで。
天使達に顔を向けてだ、こう話した。
「この実は世界の者達に広くだ」
「与えそしてですか」
「糧の一つとしますか」
「そうされますか」
「そうする、あの者達を救ったものであるしな」
このこともあってというのだ。
「この度はな」
「はい、それでは」
「新しい世界に胡桃を行き渡らせましょう」
「洪水の前よりも」
「そうしましょう」
「是非な」
こう天使達に言ってだった。
神は右手を少し動かした、すると世界に多くの胡桃の木の芽が出て芽は見る見るうちに成長していき。
木となり多くの実を実らせた、それを見て神は言った。
「多くの生きもの達がだ」
「これから胡桃を食べますね」
「自分達を救ってくれた実を」
「そうしますね」
「これからはな、誰もが胡桃を食べ」
自分達を救った実をというのだ。
「それを糧とする」
「いいことですね」
「そう思うと」
「まことに」
「そうだ、皆胡桃を食べることだ」
神はこう言って天使達にも胡桃を食べさせた、その胡桃は彼等が食べても美味かった。リトアニアに伝わる古い話である。
胡桃の殻 完
2022・11・14
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