第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
長田結花は今一人で街にいた。まだ何が起こったのかわかってはいなかった。
「また生き返ったっていうの?」
夜道を一人歩きながら呟く。その周りを人が通り過ぎていく。
「何が何なのか」
わからなかった。どうして今ここを歩いているのかも。ふと歩いているうちに道で絵を売っている男に気付いた。
「え・・・・・・貴方は」
長田は彼の顔を見て目を丸くさせた。そして彼も。
「結花、御前どうして」
「海堂さん」
二人は顔を見合わせる。かつて共に志を同じくさせていた二人であったのだ。
「生き返ったのか。どうして」
「黒い服の男の人に会って」
長田はそれに応えて言う。
「それでこうして」
「黒い服の男か」
「そうなの」
長田は語る。
「それで私が行きたい場所に行けって言われて」
「それが俺のところか?」
「海堂さんに会ったのは偶然です」
「そうか。何だよそれ」
海堂はそれを聞いて悪態めいたことを言ってきた。
「俺と会ったのは偶然っちゅうのかよ」
「だって何してるか知らなかったし」
「今絵を描いてるんだよ」
彼は悪態めいた口調でまた言った。
「とりあえず生きないといけないからな」
「それが海堂さんの絵なんですね」
ちらりと彼の絵を見た。見ればかなりのセンスがあった。
「ギターよりいいかも」
「これでも売り上げいいんだぜ」
彼は自分でそう述べる。
「今日もかなりいい値段で売れたしな」
「そうなんですか」
「おう。それで何処行くんだ?」
「とりあえずは」
少し考えてから述べる。
「啓太郎さんのところに行ってみる」
「あそこにか」
「ええ。多分あそこに乾君達もいるから」
「そうだな。じゃあ俺も後からそっちに行くぜ」
「海堂さんも?」
「俺が行っちゃ悪いってのかよ」
そう彼女に問う。
「何か嫌な予感がするしな」
「そうね」
長田もその言葉には頷く。
「じゃあ店片付けてからな」
彼は言った。
「そっち行くからよ」
「ええ。じゃあ啓太郎さんのお店で」
二人は一旦別れた。そしてまずは長田は一人で啓太郎のところへと向かうのであった。
海堂は一人になった。絵をなおしはじめる。
「しっかし量が多いな」
自分で自分の絵を見て言う。
「自分で描いておいて何だけれどな」
顔が苦笑いになっていた。その顔で述べる。
「多いねえ、全く。毎度毎度なおすのに一苦労だぜ」
「あの」
そこに一人の青年がやって来た。
「よかったら手伝いましょうか」
「ん!?あんた誰だい」
その青年に顔を向ける。そこにいたのは。
「葦原涼」
彼は名乗った。オルフェノクとアギトの出会いであった。
同じ夜空の下で。乾巧は園田真理と共に夜道を歩いていた。二人の手にはそれぞ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ