一目惚れ
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っ?」
少女の言葉を理解するのに、たっぷり十秒はかかった。
俺の耳がおかしくなった訳ではないよな?
「え、えっと・・・・・・・・何を言っているのかな?」
ちょっと、いやかなり戸惑いながらも俺は聞き返した。
あれだ、かなり人見知りで男の子に免疫がなくて、突然助けられてパニックているからそんな発言が出たんだ。
きっと落ち着けば、さっきの言葉はなかった事にしてくれるはず。
「いえ、私は貴方と結婚したいのです。」
都合の良い現実逃避という名の幻想は、少女自らがぶち殺した。
はっ?
結婚?
何を言っているのこの子は?
初対面だぜ、俺?
なにこれ、前世では結婚しているとかそんな電波でも拾ったの?
俺が驚き戸惑いっていると、少女は俺の腕を掴み、そのまま引っ張っていく。
「ちょっ、どこに行くんだ!?」
すると、少女はどこから取り出したのか。
竹簡と筆を取り出し、片腕は俺の腕を掴んでいるので、空いている手に竹簡、口に筆を加える。
そのまま流れるように文字を書いて行き、書いた竹簡を俺に見せる。
『これから私の姉に会ってもらいます。』
「姉!?
会って五分もせずに家族に紹介されるの俺!?
てか、何で竹簡で会話!?」
『絶対に逃がしません。
もう貴方は私の婿さんです。』
「勝手に婿にされた!?
気が早いすぎるだろ!?」
どうする。
このまま力ずくで振り払うか?
それだとちょっと可哀想だし。
姉に会うのだから、姉に説明してこの子を説得してもらって、こんな馬鹿な真似を止めた方が良いか。
もしかしたら俺の他にもこうやって、結婚を申し込む少女なのかもしれない。
何より、この子は可愛い。
少しため息を吐いて言った。
「君、名前は?」
『馬良。
真名は黎。』
「真名まで教えるのかよ。
ならこっちも教えないとな。
関忠だ、真名は縁。」
『縁・・・・・これで婚儀が開けれる。』
「もしかして強引に引き剥がした方が良かったかもな。」
これから起こる事が全く予想できない不安の中、俺は彼女に引っ張られながら街を歩いて行くのだった。
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