第二部 1978年
影の政府
賊徒の末路 その1
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報・防諜局(SDECE)に連絡を取ってくれ」
レバノン大統領が言ったSDECEとは、フランスにおける情報機関の事である。
第二次大戦中の情報行動局を発端とし、1945年に組織されたフランスの対外諜報機関である。
1943年に独立したレバノンは、脆弱な国家基盤の維持のために、旧宗主国フランスの支援を受け入れることが、ままあった。
1958年のレバノン危機の際は、フランス外人部隊が混乱を収めるのに一役を買うほどである。
対外情報網も、またフランス政府との協力関係を結びながら運営されていた。
米軍救出部隊の航空支援としてついていたF4ファントム中隊の前に、遠くから近づくものがあった。
夜間監視装置のついた偵察機の複座に座る偵察員が、レーダーに映る遠くの機影を伝達する
「正面に敵、数は36」
口頭で報告を受けたパイロット役の衛士は、
「敵さんのお出ましか。歓迎パーティーと行こうじゃないか」と応じた。
F4戦術機のレーダーに映る謎の機影。
それは、ソ連製のMIG21で、総勢36機の大編隊だった。
各機とも漆黒の夜間迷彩塗装が施され、突撃砲を4問装備していた。
米海軍戦術機隊の隊長は各機に指示を出す。
「両肩に装備してあるサイドワインダーでの攻撃後、本空域より離脱する」
そういうと、隊長は操縦桿にある透明な樹脂製のケースを親指で押し上げ、
「ミサイル発射!」と、赤い射撃ボタンを強く押した。
両肩の上に付けられた三連装のロケットランチャーが火を噴くと、勢いよくミサイルが噴出していった。
計六本のサイドワインダーミサイルが、ソ連機に向け、蛇行した軌跡を描きながら進んでいく。
ソ連機には熱感知装置はついているものの、それは米海軍の物とは違い、BETA戦に特化したものだった。
空対空ミサイルの電子妨害装置や対応するミサイルなどの装備は、重量と費用の関係で見送られていたのだ。
ソ連機は、搭載する突撃砲で必死にミサイルを迎撃するも、衛士の技量は米海軍に劣った。
ミサイルを必死に回避している最中に、ファントムが彼らの後ろにつくと、20ミリ機関砲の餌食となって、そのまま火を噴いて、洋上に真っ逆さまに落ちていった。
戦闘は10分もしないうちに、一方的に終わった。
「全機集合!被害状況を知らせよ」
隊長からの応答に、副長は、
「全機健在。わが方被害なし」
「新たな機影を確認、数は25」
戦術機隊長は、監視員からの報告を受けた後、燃料メーターを見る。
戦術機の航続距離は、軍事兵器としては短かった。
レシプロ戦闘機にも劣る戦闘行動半径は150キロメートル、巡航は600キロメートルであった。
『これ以上は推進剤の燃料が持たない』と、考えた隊長は、一つの
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