ゴッドシード・アルドロン
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一部であるシリル。その彼の成長は天海にとって何物にも変えがたいものだ。
「さぁ、終わらせるか」
目の前でこちらに迫ってくるかつてのライバルの姿をした存在に視線を向ける。
「ありえない・・・私が・・・ゴッドシードの一角が崩されるなど・・・」
一歩踏み込んだ天海を見て彼は後ずさった。想定外の魔力を持つ男になることができたにも関わらず、それをも平然と上回ってくる男の登場にいつしか神と称される存在としての威厳など消え失せていた。
「残念だな。俺もお前も、万全な時に戦いたかった」
「まさか・・・まだ上があると−−−」
最後の言葉を言うことも許されず土手っ腹を貫かれるティオス。それは木屑となり崩れ落ちると、地面へと儚く崩れ去った。
「さて・・・」
戦いを終えた天海はシリルの方へと歩み寄る。彼はそんな彼に声をかけようとしたが、何を言えばいいのか思い付かない。
(なんて言えばいいの?元々は敵だった人なのに・・・)
関係が関係だっただけにかける言葉が見つからない。その間に彼はシリルのすぐ横へと落としていた布を拾い、顔を隠している。
「悪いが俺はこれで帰らせてもらう。それと、この事は誰にも言うな。特にカミューニだな」
「なんで?」
「あいつにバレると後処理が面倒だ」
それを聞いてシリルは思い出していた。ミラが言っていたナツたちが天使に負けた直後、カミューニが誰かを連れてその国に偵察に言ったという話を。恐らく今の流れから、それが天海なのだろうと察しがついていた。
「どうだ?参考になったか?」
顔を完全に隠した彼の声は相変わらずの無愛想なものだった。しかし、今の少年にとっては逆にそれが清々しかった。彼の裏表の無さは信用に値すると感じられたからだ。
「うん。なった」
「ならいい」
そう言って天海は少年の頭を軽く叩くとすぐに踵を返しその場から去ろうとする。その際彼は少年へと声をかけながら歩を進めていた。
「いずれ俺はお前の前に立ち塞がるだろう。それまで力をつけておけ」
彼の芯の強さがその一言でわかったシリルは笑っていた。そして思わず口が滑り、そんなことを言ってしまう。
「うん!!ヴァッサボーネ!!」
その呼び名を聞いて天海は思わず足を止め振り返った。
「それは俺ではない、この世界の−−−」
そこまで言いかけて彼は目を見開く。その目に映るのは目の前の少年を地面へと引きずりこもうとする植物の姿。
「何これ!!うわ!!」
そのまま地面の中へと引きずり込まれてしまう少年。それを目の前にした天海は驚いた表情をしていた。
「ほう、まだ先があったのか」
守ったはずの少年が消えたにも関わらず焦る様子もなくそう呟いた彼は、その穴に向かうことは
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