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第十四話 添星その十九

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「今日会った彼の方がね」
「お好きですか」
「会って」
 実際にそうしてというのだ。
「悪い印象はね」
「受けませんでしたね」
「ええ」
 そうだったというのだ。
「全くね」
「それでは」
「運命はどうしようもなくても」
 今度は本心を隠した、実は違うのではないかとも思っているがそれを隠してそのうえで語るのだった。
「出来ればね」
「今日の彼とですね」
「一緒にいたいわ」
「左様ですね」
「そしてね」 
 庚はさらに言った。
「戦いになっても皆出来るだけね」
「出来るだけ?」
「生き残って欲しいわ」
 こうも言うのだった。
「一人でも多くね」
「戦えば死ぬわ」
 颯姫が言ってきた。
「そして死ねば」
「二度と生き返らないわ」
「そうね」
「貴方達でもね」
「地の龍でも」
「死ねばね」 
 その時はというのだ。
「それで終わりよ」
「生き返ることはないわね」
「絶対にね」
 それこそというのだ。
「そうなるわよ」
「だからなのね」
「皆勝つことは目指しても」
「死んでは駄目ね」
「ええ、一人でも多くね」
 こう仲間達に言うのだった。
「生き残ってね」
「そうすることね」
「そしてね」
 それでというのだ。
「最後に皆で楽しみましょう」
「こうして食べて」
「ええ、生き残ったことを喜んで」
「勝ってじゃないんですか」
 ??は庚の今の言葉に意外といった顔で問うた。
「そうなるんじゃ」
「あっ、そうね」
 言われてだ、庚は本心を三人に気付かれずともそれでも出してしまったことに気付いてそれでこう返した。
「この場合は」
「そうですね」
「そうよ、ただ勝つとね」
「生き残る、ですか」
「あちらが戦えなくなって」 
 七人全員がというのだ。
「私達が生き残っていればね」
「僕達の勝ちとなりますね」
「そうなるから」
 内心動揺を隠しながら言い繕った。
「言ったのよ」
「そうですか」
「だからいいわね」
 庚はあらためてだった、仲間達に告げた。
「今牙暁を入れて四人そしてね」
「残る三人の人達も」
「皆よ」
 それこそと??に話した。
「出来る限り多くね」
「生き残って」
「そのことを喜ぶ為に」
「パーティーですね」
「それを楽しみましょう」
「わかりました」
 ??は頷いた、そうしてだった。
 地の龍の者達は封真のことを考えつつ夕食を食べていった、その後はそれぞれの家に戻って時間を過ごしたのだった。


第十四話   完


                  2023・2・1
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