第十四話 添星その十一
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「だからよ」
「必要だから」
「そうよ、だからね」
「そうですか」
「必要だから。おかしいわね」
颯姫は庚の今の話に目を向けて言った。
「人間だけはね」
「自分の為にというのね」
「命を奪う、殺すんじゃないかしら」
「人間だけかしら」
これが庚の返答だった。
「果たして」
「どういうこと?」
「それがわかることもね」
このこともというのだ。
「大切よ」
「そうなの」
「地の龍としてね」
颯姫に目を向けたまま笑わず話した。
「そうよ」
「人間だけじゃない」
「ええ、それがわかることもね」
「わかっているわ」
颯姫は今は何も思わず答えた。
「人間は地球を汚して壊して」
「他の命を奪う存在ね」
「だからね」
そうした存在だからだというのだ。
「地球にはよ」
「いらないっていうのね」
「ええ」
そうだというのだ。
「全くね」
「それがどうかわかることも」
「大切なの」
「そう言っておくわ」
「地の龍として」
「そうよ、今私が話したことを覚えてくれるなら」
それならともだ、庚は話した。
「貴女にとってとても大きなことになるわ」
「そうなの」
「きっとね、私は人間が嫌いではないわ」
庚は颯姫に自分が思っているこのことも話した。
「決してね」
「人間を滅ぼしても」
「そうする立場にいてもね」
姉への本心を今は隠しつつ述べた。
「そうなのよ」
「嫌いでも軽蔑もしていないのね」
「憎くも思っていないわ、だから貴方達とも一緒にいるのよ」
そうだというのだ。
「そして知事さんも助けているのよ」
「秘書として」
「そうもしているのよ、今の知事さんは確かで人柄も真面目だから」
そうした人物だからだというのだ。
「秘書としてお仕事をしていても」
「いいのね」
「どうも東京はおかしな知事さんも出ているから」
庚はこうも話した。
「前の知事さんと前の前の前の知事さんとね」
「前の知事さんはタレント出身で」
遊人が思い出す様に言ってきた。
「前の前の前、三代前になりますね」
「あの人もね」
「人気はありましたが」
「政治家としてはね」
即ち都知事としてはというのだ。
「マスコミ人気はあったけれど」
「政治家としてはゼロでしたね」
「その失政が今でも残っている位だから」
「よくはなかったですね」
「今の人は元々作家さんね」
「そうですね、あの人は」
「だから有り難いわ」
遊人に現在の知事のことを微笑んで話した。
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