やっぱり僕は歌が好き 第二十楽章「何かを隠す為に絵を飾ってるのかもね」
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(グランバニア王国:城前地区・プービル)
ピエッサSIDE
『社長から仕事を依頼されたから明日の土曜日に城門前の魔道人員輸送車停で待ち合わせよ。時間は午前10:00ね!』
突如そうアイリに言われた金曜日の午後。
本日の授業は全部終わり、来るか来ないか……まぁ来ないだろうマリーちゃんを待って練習の予定がある私なのだがお構いなし。
とは言え社長からのご依頼となれば拒否など出来ず、詳しい事を聞く事も無く当日を迎える。
魔道人員輸送車停を降るとアイリは既に待っており、城の南東にある三階建てのビルに導かれた。
入り口には小さなプレートに『プービル』と書かれている。
アイリはバッグから鍵の束を取り出すと、スペードのマークがあしらわれている鍵で入り口を解錠する。
よく見ると扉の取っ手部分にもスペードのマークが描かれている。
「ここは何?」
流石に私も質問する。
反社会的な連中が根城にしてる事で微妙に知れ渡っている建物だ……何故鍵を持ってるのかは分からないが、正直入りたくない。
「プービルよ」
「凡人にも解る様に説明して。それだと私の上司の対応と同じよ」
ジャンルは違えど天才と呼ばれる者達は、他者への対応が同じになるらしい。
「アイツと一緒にしないでよ……悪かったわよ!」
効果覿面。
この国のナンバー2と同じだと比喩したのに、心底嫌そうな顔で拒絶。
そして簡潔にだが、このビルを社長が好条件で譲り受け、私的で使用してる事やアイリも自由に使って良いらしく、鍵を渡された事などを説明してくれた。
因みに、社長が不動産を譲り受けるのに支払った代償は、彼の大商人から20Gで値切り買った中古のギター1本との事だ。
当然の事ながら、まだビル内には誰も居らず、1階の事務所の様な部屋で待つ事となる。
アイリは手慣れた様子で私の分のコーヒーを入れてくれ、暫くの間2人で卒業式等の雑談で社長を待った。
20〜30分程した頃に、入り口で人の入ってくる気配がしたので、社長だと思い私もアイリも立ち上がって扉の方を注視してると、少し小さめのギターケースの様な物を2つ抱えたラッセル君が入って来た。
何故に彼が? そう思っていると、後ろからは彼女さんが入ってくる。
軽く2人に挨拶すると、アイリが「荷物なら2階に運んだ方が良いわよ。どうせ使うのは2階でなんだから」と荷物が何なのか分かってる様な口調でラッセル君を促した。
その進言を聞き2人は2階へと荷物を運び込む。
その
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