276 解き放たれた効力
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妲己を睨む。
(確かに洗脳が解かれてしまっていたか・・・)
妲己にはりえの表情を見るだけですぐに察する事ができた。
「身体が冷えてしまっただろう。今夜は温かい料理の予定だ。楽しみにするがよい」
「はい」
「・・・」
藤木は朗らかに返事をしたが、りえは無言でしかめっ面だった。二人は部屋に戻る。洗脳を解かれたりえにとって藤木と共に部屋にいる時ははまた落ち着かない状態に戻った。
「りえちゃん、どうしたんだい?」
「あっ、いやっ・・・」
りえは誤魔化そうとしたが、藤木には馬車に乗る前の時のりえと感じが異なっている事に気付いた。
(やっぱり、りえちゃん、寒いのが嫌だったのかな?)
しかし、藤木はりえの本当の真意を見抜いていなかった。
杉山はレーニンと共に進む。その時、トランシーバーが鳴る。
「こちらレーニンだ。どうした?」
『こちら妲己。先程見知らぬ小娘と遭遇しまして祝言の際にナポレオンから貰った薔薇がその小娘によって破壊されてしまいまして、そのせいで安藤りえが元に戻ってしまったようです』
「ナポレオンから貰った薔薇がだと?その小娘はどんな者だった?」
『あの藤木茂とは知り合いの者のようでしたが、則天武后の側近と行動を共にしていました』
「ところでその女子ってのは杖の所有者じゃねえのか?」
杉山がレーニンに代わって出てきた。
『いいや、全く別の小娘でした。おそらく藤木茂坊との会話から以前想っていた女子だったと思われます。しかし、その者が杖の所有者とも繋がりを持っているとなると厄介な事になります』
「そうか」
レーニンの姿に戻った。
「構わん。見つけ次第、その小娘も危険分子として扱う。発見次第、排除するのだ」
『了解しました』
通信が切れた。
(前に藤木が好きなってた女子って事か?となると・・・)
杉山は記憶を探る。
(まさか、笹山も来てんのか・・・!?)
杉山にとっても予想外の答えだった。
(だが、今は向こうの方に行かねえとな・・・)
藤木達は夕食会とした。
「うわあ、すき焼きだ!それにおでんや魚の鍋まで!!」
すき焼きにおでん、寄せ鍋と鍋ものでいっぱいだった。
「りえちゃんも食べようよ!」
「・・・」
りえは無言で椅子に座った。藤木はいただきますを言った後、早速料理に手を付ける。
「うわあ、茂様、とても進んでいますね!」
「いやあ、美味しくて・・・」
「ありがとうございます」
料理を担当した遊女が照れた。
「りえ様はお召しにならないのですか?」
「あ・・・」
りえは箸を持った。夕食の時は進んでいった。
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