第九十五話 恋人のカードその十
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「それでもです」
「表のお仕事でないとですね」
「駄目です」
それこそというのだ。
「まさに」
「そうですよね」
「アウトローのお仕事はです」
「悪いことしてますね」
「そうです」
まさにというのだ。
「裏の世界とはです」
「そうした世界ですよね」
「刺青を目立つ場所にしているなぞ」
「もうそれを自分で言っていますね」
「そんな人に他なりません」
速水は言い切った。
「まことに」
「そうなりたくないですね」
心からだ、咲は言った。
「刺青自体がです」
「入れたくないですね」
「荒れ入れる時凄く痛いですね」
「針で入れますので」
だからだとだ、速水も答えた。
「やはりです」
「かなり痛いですね」
「そして皮膚を傷付けるので」
「お肌にもよくないんですよね」
「そこから汗をかかなくなり」
汗腺まで殺してしまうからである。
「身体も冷えますし」
「しかも悪い人に思われますね」
「いいことはです」
それこそというのだ。
「全くありません」
「ファッションで入れる人もいますけれど」
「いいファッションとはです」
「言えないですね」
「最近はスポーツ選手でも入れますが」
オリンピック選手でもいたりする。
「しかしです」
「いいものかというと」
「全くです」
「違いますね」
「少なくとも私はお勧めしません」
絶対にとだ、速水は言い切った。
「しかもお金もです」
「あれ専門的な技術ですから」
「かなりかかり消すにしても」
「手間暇かかりますね」
「若気の至りで入れて」
そうした者も多い、その時のことだけを考えて将来のことは全く考えていないということの一つと言えるだろうか。
「後で後悔します」
「そうしたものですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「刺青は」
「私絶対に入れないです」
咲は口をへの字にさせて述べた。
「今日のお話で余計に思いました」
「その様にですね」
「はい、何がいいのか」
それこそというのだ。
「麻薬と同じだけわかりません」
「私もです、勿論麻薬はしていませんし」
「刺青もですね」
「入れていません、若し少しでも入れて」
そうしてというのだ。
「スーパー銭湯に行けなくなるのなら」
「最悪ですね」
「実際にお店を出る様に言われた人を見ました」
そうだったというのだ。
「お店の人に刺青を見られて」
「それで、ですか」
「料金は戻されましたが」
「嫌ですよね」
「そうもなるので」
だからだというのだ。
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