第十四話 添星その六
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「思っています」
「かも、ですか」
「貴方のお父上を見て」
「父さんを」
「死ぬ筈だったのが」
それがというのだ。
「生きておられますね」
「入院していますが」
それでもというのだ。
「確かにです」
「生きていますね」
「命に別状はありません」
「そうですね、実はです」
「父は、ですか」
「死ぬ筈だったのです」
彼の運命はというのだ。
「そうだったのです」
「そうでしたか」
「それがです」
その筈がというのだ。
「生きているのですか」
「運命は変わると」
「これは剣を手に入れる様に言った人の指示によるものでしたが」
「地の龍の関係者ですね」
「おわかりですか」
「証拠はなかったですが」
それでもというのだ。
「察していました」
「そうでしたか」
「やはりそうでしたか」
「その人が殺さない様にとです」
庚の名前は伏せて話した。
「その様に言われたので」
「父さんは殺されなかったのですね」
「はい、ですが運命では」
「殺される筈でしたか」
「どうもその人が無駄な殺生を好きでなく」
「人間を滅ぼすのにですか」
「そこは」
庚の真意はだ、夢の中なので嘘は言えないが心の中の箱に入れてそのうえで話した。嘘は吐けないがそれは出来るからだ。
「おいおい」
「わかることですか」
「はい、それでなのですが」
「父さんは助かった」
「運命は絶対の筈で」
「死んでいた筈なのに」
「変わったのですから」
そのことを見たからだというのだ。
「ですから」
「今はですか」
「絶対とはです」
その様にはというのだ。
「違うのではないかとです」
「思われていますか」
「絶望してきました」
牙暁は目を閉じてこうも言った。
「これまで」
「運命を見てきて」
「そうしてきたので」
だからだというのだ。
「変わらず無惨に死ぬ人を」
「見てきましたか」
「その時からです」
北斗のことを思いつつ言うのだった。
「僕は運命は変わらないと思い」
「そしてですか」
「そのうえで、です」
「絶望してきましたか」
「そうでした」
封真に目を閉じたまま答えた。
「これまで、ですが」
「父さんのことで」
「若しやとです」
「思われていますか」
「そうなっています」
まさにというのだ。
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