第百三十八話 草薙、オロチを封じるのことその六
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お互いに構えを取りだ。そのままだった。
「覇っ!」
「死ねっ!」
二人同時にだ。蒼い光と紅の光を放ちだ。それでだ。
朧を斬らんとする。その光の刃が一気にだ。
朧を貫いた。それと共に鮮血が辺りを染めて。空中を浮かんでいた刃が全て落ちた。
だがその刃にもだ。二人はだ。それぞれの光を放ちだ。全て潰してしまった。
そしてそのうえでだ。倒れている朧に対して問うたのだった。
「これで終わりだな」
「貴様自身である刃も全て潰えた」
「ならばだ。貴様はもうだ」
「生きてはいられまい」
「見事です。しかし」
朧はまだ息があった。その最後の力で二人に言ってきたのだった。
「貴方達はやはり」
「そうだ。もとの世界に戻れば再びだ」
「俺達は互いに闘う」
そうするとだ。蒼志狼も刀馬も朧に返した。
そしてだ。刀馬がとりわけだ。朧に言うのだった。
「しかし最早闇の力によってではない」
「無限によってですか」
「何度も言うが零は捨てた」
それはだ。最早変わらないことだった。彼の中で。
「俺はこれから紅の大河となり侍の道を進む」
「そうされますか」
「そして蒼の大空に勝つ」
まただ。蒼志狼を見て言うのだった。
「そうする」
「ですか。では」
「死ぬか」
「闇、闇の包む世界」
朧はここではじめて残念そうに言った。
「それが生まれないのはまことに残念ですが」
「案ずるな、最早貴様は死ぬ」
蒼志狼の言葉はここでは冷たいものだった。
「何の憂いもなくだ。死ぬのだな」
「闇に栄えあれ」
最後にこう言いだ。朧は消え去った。その骸さえもだ。完全にだ。煙の様に消え去ったのだった。それを見届けてからだ。刀馬は再び言うのだった。
「ではだ。これからはだ」
「そうだな。再びだな」
「侍の道を極めるのは俺だ」
「言うな。しかしそれはな」
「貴様だというのだな」
「ああ、俺は無限のこの侍の道を進む」
遥かな彼方を見つつだ。言う蒼志狼だった。
「そして俺がだ」
「では生涯をかけてどちらが侍の道を極めるか」
刀馬もだ。遥かな彼方を見つつ言う。
「勝負だ」
「望むところだ」
こう言い合いだ。二人は元の世界での勝負も誓い合うのだった。
ハイデルン達はルガールとの攻防を続けていた。互いに傷は深くなってきている。しかしだった。
ルガールはまだ立っていた。そしてハイデルン達も。その中でだ。
タクマがだ。意を決した顔で二人に言ってきた。無論彼も傷だらけだ。額から血が滲み出ていてそれが汗と混ざり合い彼の傷を映し出していた。
「策がある」
「何だ、それは」
「どうするのじゃ?」
「一か八かになるがいいが」
まずはだ。このことを断るのだった。
「それでもいいか」
「あの男を倒せる
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