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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十七話 箱の中の腐った林檎
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が最上位となる訳だが…何をしたらいいものか。
「先輩、何を難しい顔してるんです?」
「いやねアッテンボロー、こういう場合は何をしてればいいのかと思ってね」
「決まってるじゃないですか」
アッテンボローは笑って手を口に持っていく。
「しかし勤務中だろう?いろいろあったが、こういう視察とかの類いは時間の括りがどうも解らなくてね」
「もう勤務時間は終わってますよ。今、先輩は最上位者です。デンと構えていればいいんですよ。では、乾杯」
「払いは誰持ちなんだ?」
「高等参事官殿に決まってるじゃないですか」
「お前さんね…」

 仕方ない、私が払うか…。しかし、ワイドボーン達はどこに行ったんだ?
「ああ、ホテルに居ても息が詰まるからって、市街地に繰り出しましたよ」
…そんな事、許可した覚えはないんだが……。
「市街地ねえ。ここの街に詳しくなる時間なんてあったか?」
「詳しくなくても、寄港地気分でいいじゃないですか」
乾杯、と言いながらアッテンボローは手にしたグラスを一気にあおる。
「お前さんは行かなくてよかったのかい」
「先輩が一人ぼっちになっちゃうじゃないですか。先輩を一人になんてしたら、たとえホテルの中でも迷子になりかねない」
「あのな、他の人が聞いたらヤン・ウェンリーという男はよほどの無能力者と勘違いするんじゃないのか」
「そんな事はありませんよ。ただ、ウィンチェスター…高等参事官も仰ってたじゃないですか。先輩は光秒以下は役に立たないって」
アッテンボローはとんでもない事を言いながら私のグラスに二杯目を注いだ。憮然とする私を見ながら、アッテンボローは言葉を続けた。
「実際、どうなんです?」
「実際?何の事だい?」
「おそらく、今回の件で我々は昇進するんじゃないですか?そしたら、高等参事官は少将、先輩は准将ですよ。私は中佐に、ワイドボーン先輩、マイクやオットーも大佐、フォークやスールですら少佐だ」
「そうだね」
「呑気ですね先輩は。次は准将なんですよ?どこぞの分艦隊司令になるかも知れない」
「ぇえ?私はそんな器じゃないさ」
「先輩本人がそう思っていても、そうなる事だって有り得る話です。光秒以下は役に立たない…分艦隊司令は光秒以上の事を扱います」
認めたくないがアッテンボローの言う事にも一理ある。前線の不正を暴いたのだ。それに暴いた本人は統合作戦本部長や国防委員長の信頼も厚い。ウィンチェスターや我々はは確実に昇進するだろう。特に国防委員長トリューニヒト氏は自らの手腕を褒め称える意味でも我々を昇進させるだろう。もう少し、アッテンボローの意見を聞いてみたくなった。

 「しかしだ、お前さんの言う様に我々も昇進するかな?」
「しない訳がないでしょう?表向きは高等参事官のスタッフですよ我々は。参事官だけ昇進させて、
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