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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十七話 箱の中の腐った林檎
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装甲兵指揮官だったな…。
「ヤマト…早くシャトルの中に入れ。此処は俺とオットーで時間を稼ぐ」
「えっ、俺も!?……仕方ない、ヤマト、マイクの言う通りにしろ。シャトルの中から上空のガットマン中佐に連絡しろ。統合作戦本部につないでもらうんだ」




14:40
アムリッツァ星系、チャンディーガル第二衛星軌道上、第七十二?留ステーション、
自由惑星同盟軍、戦艦ケンタウリ、
トニー・ガットマン


 艦長就任初めての任務が、かつての部下の送迎とはね。しかも専用艦と来たもんだ。まあ死ぬ心配は無さそうだし、数年務めあげれば大佐って階級も見えて来る…ん?
「艦長、チャンディーガルの高等参事官より通信です」
「ん。繋いでくれ」

”艦長、統合作戦本部長に超光速通信(F T L)を。至急願います”

「直接ですか?それは…」

”訳は後で話します。中継してシャトルに繋いでください、急いで!”




15:30

チャンディーガル宇宙港、自由惑星同盟軍専用区画、シャトル発着ロビー、
ヤマト・ウィンチェスター


 何とか宇宙空間には出ずに済んだ。駐留艦隊司令部付野戦憲兵隊なる連中は、ロボス提督直接指揮下の駐留艦隊司令部特別陸戦隊によって拘束されていた。一時間近くも睨み合いが続き、撃ち合いにはならずに済んだものの、オットーはヘトヘトになっていた。
「死んだかと思ったぜ全く」
「一応同盟領で、地に足をつけて死ねるんだぜ。ありがたい事さ」
「お前な…」
対するマイクは何事もなかったかの様にケロっとしていた。
「皆、大丈夫か。怪我はないかね」
そう言うとロボス提督は深々と頭を下げた。
「お顔をお上げ下さい、提督。我々は提督に何ら含むところはありません」
「そう言って貰えると助かる。だが、原因は私にある。本当に済まなかった」
再び提督は頭を下げたが、その顔は心なしか青ざめているように見える。陸戦隊を連れて宇宙港を去る元帥の肩は…もうよそう。



6月14日18:00
チャンディーガル、シヴァーリク郊外、
ホテル・シュヴァルツバルト、
ヤマト・ウィンチェスター

 「しかしアレだな、ロボス提督はただの災難じゃないか。部下の罪を被る事になるんだろう?」
子羊のカツレツをワインで流し込みながら、アッテンさんのぼやきが続いている。災難と言いながら顔は全く災難なんて思っていなさそうな所がアッテンさんらしい。
「当然実行犯達も軍法会議ですよ。ですが監督不行届、って事になるんでしょうね。我々も拘束されかけましたからね、実行犯達には重罪を課して欲しいものです」
隣のテーブルのアッテンさんやオットーの話を聴きながら、事態の重さに辟易している自分がいる。少しずつではあるが事件の輪郭が見えてきてい
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