暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第六十七話 箱の中の腐った林檎
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「中佐、合流は宇宙港、我々のシャトルだ」
「了解致しました、中々急を要するみたいですな。では」
有能な軍人は話が早い。余計な事は聞いて来ないから助かる…。

 三分後、俺のチームとワイドボーンのチームはそれぞれの地上車に乗っていた。
「一体どうしたんだよ、ヤマト」
ホテルを離れるまでは黙って居た方がいい、とでも気を使ってくれたんだろう、地上車に乗り込んだ途端オットーが移動の訳を聞いてきた。マイクは地上車の運転に集中している。
「ちょっと、危険かもと思ったんでね。オットーはロボス提督をどう思う?ビュコック提督の副官時代、俺よりは顔を合わせる機会はあっただろう?」
「どう思うって…分からないな。表面的なものならいくらでも言えるが。そういう上っ面な事を聞きたいんじゃないんだろう?」
「じゃあ…ロボス提督は汚職をやっていると思うか?」
「金に汚いイメージはないな。まさか、やっているのか?」
「まだ分からん、だからこれからそれを調べるんだ」
「だからシャトル、艦に戻るのか」
おかしいな、と思ったのはロボス親父が怒って出ていった時だ。

〜ですが提督の顔色を気にして、お連れの方々が言いたい事も言えない〜

そう言ったら本当に怒っていた。何か悪いことしてるだろう?そう思って言った訳じゃない。ダンネベルク氏やミュンツァー氏達は被征服者の立場にある。征服者の頭目、ロボス親父がいたら言いにくい事もあるだろう…と単純にそう思って言っただけだ。まさか…。



14:35
チャンディーガル宇宙港、自由惑星同盟軍専用区画、シャトル発着ロビー
ヤマト・ウィンチェスター

 軍専用区画の発着ロビーには既にワイドボーン達が到着していた。彼以外は既にシャトルに乗り込んで待機しているという。ちゃんと貴族達も連れ出した様だ。貴族達はびっくりしてるだろうな、訳も言われずいきなり宇宙港なのだから。
「ご無事でしたか。何か急を悟られたのでしょうが、無事で本当に何よりです」
返事をしようとすると、そうも行かないみたいだぜ、とマイクが小声でささやくのが聞こえた。マイクはブラスターを抜いて射撃姿勢をとっている。遅れる事数秒、オットーもそれに続く。

”抵抗するな。我々はアムリッツァ駐留艦隊司令部付、野戦憲兵隊である。大人しく従ってくれれば危害は加えない。動くな”

そう言う拡声マイクの声のする方を見ると、完全武装の装甲服を着た野戦憲兵隊が二十人程、こちらにブラスターライフルを向けていた。彼らによって発着ロビーの出入り口は完全に押さえられてしまっている。
「我々は統合作戦本部高等参事官の視察団だ!何の故あって我々を拘束しようとするのか!部隊指揮官は前に出ろ!」
今まで一度も聞いたことのないマイクの野太い声だった。そうだ、既にマイクは歴戦の
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ