第十四話 白波五人男その一
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第十四話 白波五人男
その神霊達を前にしてだった、シェリルは思わず言った。
「今度はやな」
「ああ、この神霊さん達が相手や」
芥川は紫のそれぞれ派手な刺繍が入った着流しに文字が書かれた傘をさしている男達を見つつシェリルに話した。
「僕達のな」
「そやねんな」
「日本最強の塔賊達や」
芥川は彼等を見て話した。
「白波五人男や」
「その人等やな」
「歌舞伎の世界のスーパースターや」
白波五人男はというのだ。
「日本駄右衛門、弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸のや」
「五人やな」
「あの人がや」
碇波の刺繍の最も年配の髷の男を見て話した。
「日本駄右衛門や」
「五人男の元締めやな」
「まさにな」
「そやな」
「その次が弁天小僧菊之助」
前髪立ちの白蛇に琵琶、菊の刺繍の若者を見ての言葉だ。
「五人男で一番有名な」
「知らざあ言って聞かせやしょうのな」
「その人や、それでや」
芥川はさらに話した。
「そのまた次に控えるのがな」
「あの男前やな」
「そうや」
髷の苦みもある雲龍の刺繍の男を見て言うのだった。
「忠信利平や」
「三人目やな」
「続いて後に連なるのがな」
言葉は続く、前髪立ちの鳳凰の刺繍の中性的な若者だ。
「赤星十三郎」
「その人やな」
「そうなってなどんじりに控えたのが」
「それがやな」
「首に手拭い巻いたな」
剃った髷の雷獣の刺繍の威勢のいい感じの男である。
「南郷力丸や」
「それが白波五人男で」
「僕等の今回の相手や」
「その通り、我等は一柱ずつ来ぬぞ」
日本だ右衛門が笑って言ってきた。
「五人男というだけあってな」
「五人一度にか」
「相手をする」
「一柱一柱やなくてか」
「四霊獣の様にな」
最初に出て来た彼等の様にというのだ。
「その様にしてだ」
「戦ってやな」
「お主達に試練を与える」
こうシェリルに話した。
「これよりな」
「さあ、はじめるならな」
弁天小僧も笑って言ってきた。
「早いところやろうな」
「早いところか」
「ああ、それでおいら達を倒してな」
それでというのだ。
「先に進み菜」
「そうさせてもらうか」
「ああ、そうしな」
「それで宿には入ったか」
忠信はシェリルにこのことを確認した。
「それはどうなのだ」
「そうしてきたわ」
「そうか、ならよい」
忠信はシェリルの返事を聞いて満足した様に頷いた。
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