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その漫画は本物か
第一章

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                その漫画は本物か
 工事現場の監督をしている小川仁之面長で色黒で小さい目と唇を持ち黒髪を短くした一七三位の背の痩せた彼は昔の漫画それも戦前のものを集めることが趣味である。だがよく妻の悠衣子に茶色の髪の毛をセットし長く伸ばし大きな睫毛の長いきらきらした目と大き目の赤い唇に白い互角系の顔と一五三位の大きな胸が目立つスタイルの彼女によく言われた。
「くれぐれも自分のお小遣いのね」
「その中でだよな」
「していってね」
「わかってるよ、家計に負担はかけないよ」
 小川もこう言った。
「僕だってな」
「それならいいわ、昔の漫画ってね」
「高いよ、レアだから」
「そうよね」
「最近のらくろ集めてるけれど」
 その戦争前の漫画の代表作である、田川水泡が描いていた。
「やっぱりね」
「高いわよね」
「戦前の本だから」 
 それでというのだ。
「そうだよ」
「そうよね、けれどね」
「お小遣いの範囲でだね」
「それで買って集めてね」
「そうしてるよ」
 こう話してだった。
 小川は実際にだった、お小遣いの範囲内で昔の漫画を集めていた。その中で同じ趣味を持つネット上で知り合い何度も会ったことのある大学生の大石勇馬一六三位の背で黒めがちの大きな目できりっとした口元と黒く短い髪の毛で引き締まった体格の彼にだった。
 ネット上でだ、こう言われた。
「小川さんのらくろ集めてますね」
「うん、そうだよ」
 小川は大石にその通りだと答えた。
「最近はね」
「そうですね、それでなんですが」
 大石は小川の話を受けてネット上で言った。
「安く売られている単行本見付けましたよ」
「ネット上でかな」
「いや、大阪の古本屋で」
 そこでというのだ。
「たまたま見付けたんですよ」
「大阪の?」
「はい、古書街がそのまま移った」 
 そうしたというのだ。
「あそこで」
「そうなんだ」
「今度一緒に行きましょう、他にもいい本ありますし」
「うん、じゃあ行こう」
「そうしましょう」
 二人で話してだった。
 小川は奈良市の自宅から休日に電車で大阪に出た、そのうえで難波駅で待ち合わせをしていた大石と合流してだった。
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