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仮面ライダーAP
女湯編 エージェントガール&レジスタンスガールズ 中編
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組織《レジスタンス》に頼らなければ解決の糸口を掴むことすら出来なかったのだ。ノバシェード対策室の特務捜査官として、不甲斐ないとしか言いようがない。

 ――5年前の2016年。兄であるロビン・アーヴィング捜査官を脅迫するための材料として、旧シェードに誘拐され改造手術を受けさせられた時。
 脳改造が完了する直前で仮面ライダーAPに救助された当時のヘレンは、その後間も無く「異星人の姫君」の秘術によって生身の身体を取り戻し、人間社会に何事もなく復帰することが出来た。だが、あの頃の恐怖と絶望は今も彼女の胸中に深く刻み付けられている。
 その苦しみと過去を克服し、前を向いて生きて行くために、敢えて兄と同じ捜査官を志したというのに。自分はまだ、何も成し遂げられていない。あの日憧れた仮面ライダーAPの背に、全く届いていない。

 これまで経験して来た戦いの中で、「仮面ライダー」の名を冠する多種多様な戦士達の勇姿を、幾度となく目撃して来た。時には、彼らと肩を並べて共に戦うこともあった。
 だが、彼らに比べて自分はあまりに非力であり、その劣等感を払拭出来る機会は終ぞ巡って来なかったのだ。

(けれど……だからこそ私は、前に進まなければならないのよ。こんなことで、立ち止まってなんか……いられない)

 だが、そうだからと言って腐っている場合ではない。非力と無力は、似ているようで違うのだ。己の弱さを思い知らされたからと言って、足を止めてはいられない。今回の失敗を少しでも取り返すためにも、解放戦線の少女達には然るべき支援を届けなければならない。
 そして今度こそ、ノバシェードを挫く特務捜査官としての務めを果たさねばならないのだ。その決意を新たにしたヘレンは、気を引き締めた表情でシャワーを止め――近くに掛けてあったバスタオルを身体に巻く。

(解放戦線の子達が、あれほど頑張っていたのだから……私がいつまでも腐っているわけには行かないものね。……そういえば……)

 その時。ふと、ニッテ達の功績について兵士達が話していた内容が脳裏を過ぎる。彼女達はさながら、「マルコシアン隊」の再来のようだと兵士達は口々に語っていた。その単語を思い返したヘレンの表情が、暗澹とした色に染まる。

(……マルコシアン隊、か)

 約12年前、旧シェードによる大規模テロからこの某国を救った英雄達の部隊。ニッテ達がその再来だと語っていた兵士達の言葉に、ヘレンは何故か切なげな表情を浮かべていた――。

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