北欧編 仮面ライダーRC&レジスタンスガールズ 第5話
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ニッテが残して行った軍用糧食の箱を見下ろし、戦う決意を固める。
「……ジャック。やはり彼女達は、自分達だけで市長を助けに行くつもりのようだな。子供が銃なんて持つべきじゃない……と綺麗事を言うのは簡単だが、彼女達が耳を貸すことは恐らくないだろう。この街を、ノバシェードから解放しない限りは……」
「あぁ。……子供らしい意固地、で片付くほど簡単ではないな。だからと言って、このまま帰るつもりなど毛頭ないが」
「彼女達はさぞかし嫌がるだろうが……ご機嫌取りまで命じられた覚えはないからな」
「じゃ、決まりだな。せっかくあの子達が恵んでくれたんだ、一仕事する前に腹拵えと行こうぜ! ……うげっ!?」
何としても「仮面ライダー」としての任務を完遂し、この街と彼女達を救う。その決意を新たにした男達を代表するように、忠義は軍用糧食の箱を開いた――のだが。
そこから漂う強烈な悪臭に、思わず頬を引き攣らせてしまうのだった。先ほどまでこの部屋を満たしていた美少女兵士達の濃厚な香りすら、一瞬で掻き消してしまうような臭いに男達の表情が即座に曇る。
――この国の軍用糧食は、世界一不味いということで大変有名なのだ。それでも彼女達はノバシェードの侵略に少しでも対抗するため、この悪臭に耐えて来たのである。
「……前言撤回。俺、遠慮しときます」
「お前が始めた流れだろうが……。いつ『次』があるか分からない状況なんだ、食えるうちに食え。日本に帰ったら、銀座の回らない寿司屋に連れて行ってやるから」
そんな解放戦線のメンバー達の、ただならぬ信念の一端を垣間見た忠義は、先ほどまでの威勢をすっかり失ったように蓋を閉じようとしていた。
その手をガッシリと掴んで阻止した穹哉は、彼女達と同じ「試練」を乗り越えるべきだと判断している。鼻を摘みながら。
「な、なぁジャック。これ……なんだか分かる? 固まった重油?」
「……ハンバーグ、だそうだ……?」
「なんでちょっと自信なさげなんだよ! 目を逸らすな! 腹から声出せ!」
その隣で、食べ物なのかも怪しい物体を目の当たりにした正信は、目線を合わせようとしないジャックに食って掛かっている。不味い軍用糧食など散々食べ慣れているはずのジャックですら目を背けているのだから、相当である。
そんな彼らの騒ぎ声が鎮まり、男達が憔悴し切った様子で会議室から出て来たのは――それから約10分後のことであった。戦う前からすでにグロッキー状態となっている彼らだが、それでも足を止めるわけには行かない。
人間の自由と平和を守る。それが、仮面ライダーの使命なのだから。
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