凶兆編 仮面ライダータキオン&エージェントガール 後編
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
この廃工場は狭すぎるぜェ?」
「数体の黒死兵で制圧が可能な『実験場』を見繕って来た。そこでLEPとRCの『試運転』を行い、『決戦の日』に向けた運用データの収集を行う」
「実験場、だとォ……?」
間霧が懐から取り出したのは、彼ら始祖怪人が潜伏しているこの某国全体の地図。国境線付近を指しているその地図のある箇所には、赤い丸印が残されていた。
「この街だ。正確には、この街の防衛を担当している警察組織と正規軍。こいつらの死体を餌に『仮面ライダー』を釣り、LEPに『前哨戦』を経験させる。……街を制圧するまではお前が指揮を取れ、戦馬」
そこが間霧の云う「実験場」であることは明らかだった。丸印が刻まれている地点の名は、観光都市「オーファンズヘブン」。その地で彼は、「実験」という名の「侵略」を企てているのだ。
「へいへい、分かってらァ。……『大佐』といいあんたといい、復員兵崩れのおっさん共は人使いが荒くて敵わねェぜ」
間霧に実行役を命じられた戦馬は気怠げに頭を掻きむしると、スゥッと目を細める。彼の鋭い双眸は間霧だけでなく、その背後からこの状況を見据えている「No.1」の老兵も射抜いていた。
「……」
「大佐」と呼ばれるその白髪の男は、間霧と比べれば細身の体躯だが。紅く発光している両眼からは、間霧以上の覇気が滲み出ている。
腕を組み、仲間達の様子を最後方から無言で見据えている老兵の眼光は、間霧さえ凌ぐほどの迫力と威圧感に満ちていた。
有無を言わせぬ紅い眼力で始祖怪人達を従える、事実上の「No.1」。その気迫を背に浴びる間霧は「かつての上官」を一瞥し、言葉を紡ぐ。
「……令和と呼ばれるこの時代に蘇ってしまった以上、俺達は人間共の行いから目を背けることは出来ない。そして俺達が黙って朽ちて行くことを受け入れられるほど、奴らは行儀の良い歴史を見せてはくれなかった」
1970年代から改造人間の傭兵として活動して来た彼らは、2009年に洗脳から覚醒した仮面ライダーGに倒され、一時的な仮死状態に陥るまで。人類史に残る戦争や紛争が生んだ惨状の数々を、当事者の1人として目の当たりにして来た。
その後。2009年から2021年までの約12年間にも渡る、長い眠りから覚めた時。世界は絶望的なまでに、醜いままとなっていた。
徳川清山と羽柴柳司郎の死、そして旧シェードの滅亡。その「禊」を以てしても人類は差別と偏見を捨て切れず、残された改造人間達を迫害し、やがてはその愚行に端を発する憎しみの連鎖が、ノバシェードを生み出していた。
そんな「行儀の悪い歴史」を観たからこそ。47年前、ツジム村で起きた悲劇を目の当たりにしたからこそ。間霧を含む始祖怪人達は、敢えてその悪しき連鎖に身を投
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ