凶兆編 仮面ライダータキオン&エージェントガール 後編
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「す、凄い……! ノバシェードの戦闘員達をいとも簡単に! これが……これが、あの噂に名高い『仮面ライダー』なのか……!」
相手の得意分野での勝負に敢えて乗った上で、完膚なきまでに叩きのめし、悪しき心を折る。そんな新世代ライダー達の圧倒的な「力」を目の当たりにしたベイカーは、ヘレンに助け出されながらも感嘆に身を震わせていた。
一方、ヘレンはベイカーと同じ思いを抱えていながらも、兄のようには行かなかった自分の非力さに唇を噛み締め、複雑な表情を浮かべている。それでも危ないところを救って貰った礼は尽くさねばという思いが、彼女の口を開かせていた。
「……ご協力には感謝致します。あなた達の助力がなければ、今頃私達は……」
「ふふっ、気にすることはないさ。これが僕達の任務なのだから」
「そういうこった。嬢ちゃんみたいな若者は、俺達が要らなくなった次の時代にこそ必要になる」
「だからこそ……これ以上、無理に首突っ込むのはやめたほうが良い。何事も、命あっての物種だ」
「しかしっ……!」
だが。ベルトを外して変身を解いた幸路、義男、竜胆の3人は気さくに笑い、何事もなかったかのように自分達が乗って来たマシンへと視線を移している。彼らを乗せて来たスーパーカー「マシンGドロン」とレーサーバイク「マシンGチェイサー」は、主人の帰りを待ち侘びているかのようにエンジンを稼働させていた。
優雅な美男子、壮年の熟練刑事、筋骨逞しい精悍なタフガイ。彼ら3人はベージュのロングコートを翻し、この場から立ち去ろうと各々の愛車に向かって歩き出して行く。
そんな彼らに手を伸ばそうとするヘレンの前を遮ったのは――無骨な表情で彼女を一瞥している黒髪の青年、駿だった。手首からライダーブレスを外していた彼も、幸路達と同様に変身を解除し、本来の素顔を晒していたのである。
「南達の言うことには素直に従っておけ。……足を引っ張られては敵わんからな」
「なっ……! 何ですか、失礼なっ!」
仮面が消失し、露わにされた絶世の美貌。その眼差しは氷のように冷たく、色めき立ったヘレンの眼を鋭く射抜いていた。吸い込まれてしまいそうな彼の瞳を目にしたヘレンは、豊かな胸の内でどくんどくんと高鳴っている自分の感情に、ただ困惑している。
駿が羽織っていた黒いロングコート。その温もりに包まれているヘレンは、そこから漂う彼の匂いに「女」の貌を晒している一方で――素気ない駿の言い草に頬を膨らませ、意地を張っていた。出会って間もない内から失礼なことを言う男に、「一目惚れ」している事実から目を背けるように。
「……嫌いです、あなたみたいな人っ……!」
「そうだろうな。俺も、好かれるつもりで戦った覚えはない」
これ以上彼の顔を見ていたら、心がどうにかなってしまう。おか
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