凶兆編 仮面ライダータキオン&エージェントガール 中編
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達が力任せに飛び掛かって来た。その光景に息を呑むヘレンとベイカーは、ただライダーの勝利を祈ることしか出来ない。
だが、この戦いの行方は実に一方的なものとなっていた。肥大化した戦闘員達の両腕と真っ向から組み合い、力比べの体勢に入った4人のライダー達は――圧倒的に体格で優っているはずの彼らを、「腕力」で押し返している。
「な、なんだこのパワー……!? ば、化け物共がぁあッ……!」
「化け物、ね。生憎だけど、人々にとっては僕達も君達もさして変わらないよ。どちらも等しく超人であり……化け物さッ!」
「ぐはぁああッ!」
優雅で紳士的な佇まいとは裏腹なパワーで、腕力特化型の「お株」を奪ってしまったGNドライブは、組み合った姿勢のまま戦闘員の腹部に蹴りを突き入れて行く。その衝撃に吹き飛ばされた戦闘員は、握られたままの両腕を容赦なく引き千切られていた。
「な、何なんだコイツ、俺達よりもずっと細っこい癖に――ぐわぁああッ!?」
「……寄ってたかって女を襲うのがお前達の『聖戦』か? 安い大義があったものだな」
パワーを売りにしていた腕力特化型の両手を、力比べの姿勢のまま握り潰してしまったタキオン。彼は激痛に蹲る戦闘員を冷酷に見下ろしつつ、その両手から鮮血を滴らせていた。
「がは、あッ……!」
「……今日のところは、軽い『お仕置き』で勘弁しといてやる」
「ちょっとでもその気になったら……すぐに死んじまうからな」
力比べの体勢から逃れようと、強引にボクサーの両手を振り解いた1人は――顔面に軽いジャブを喰らっただけで意識を吹き飛ばされ、昏倒して行く。
イグザードに無理矢理引き寄せられていた最後の1人も、眉間に頭突きを喰らって気絶していた。かくして4人の腕力特化型は、ライダー達の一撃だけであっという間に再起不能となってしまったのである。
ライダー達はあくまで戦闘員達を「人間」として扱い、悪に堕ちた改造人間が相手であろうと、極力殺害を避けようとしているのだが。彼らと戦った者達は皆、このように刃向かおうとする「心」を殺され、無力化されて来たのだ。
「……そういうことだ。聞いているな?」
「ひ、ひひっ、ひぃいいぁあッ……!」
意識を保っている残りの2人は怯え切った表情でライダー達を見上げており、抵抗する意志を根刮ぎ破壊されている。そんな彼らをジロリと一瞥するタキオンは、腰を抜かした戦闘員達の醜態に鼻を鳴らしていた。
もう彼らは2度と、ノバシェードの戦闘員を名乗ることは出来ないだろう。この場で命を奪われることなく、彼らは人としての裁きを受けるしかない。そうなるほどにまで、彼らの心は完全にへし折られてしまったのだ。
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