凶兆編 仮面ライダータキオン&エージェントガール 中編
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り投げられてしまった。2m近くにも及ぶ腕力特化型の巨躯さえ、その男達は軽々と投げ飛ばしていたのである。
ヘレンの前に現れた4人の男達は皆、鋼鉄の装甲服を身に纏い。大きな複眼状の両眼を特徴とする鉄仮面で、素顔を隠していた。
装甲服のデザインも装備も、何もかもが違う彼らだが、ヘレンは彼らの姿を一目見た瞬間に「理解」する。
(こ、この人達は……! この人達が……!)
彼らこそ、自分が本来このテロに対抗するために合流するはずだった「応援」。この時代に現れた、新世代の「仮面ライダー」達なのだということを。
「……これでも羽織って、大人しくしていろ。後は……俺達が引き受ける」
「あ、あなた達は……!」
そのうちの1人が、低くくぐもった声を掛けてくる。頭部から伸びた一角を特徴とする漆黒の戦士「仮面ライダータキオン」こと、森里駿。彼は装甲服の上に羽織っていた黒のロングコートを勢いよく脱ぎ捨て、ヘレンの白い身体にばさりと被せていた。
強く逞しい漢の匂いが滲むそのコートの温もりに、ヘレンは羞恥心もあって頬を赤らめている。コートの裾を握る白い手は、恐怖から解放された安堵感に震えていた。
だが、コートを与えたタキオンは彼女の白く美しい身体を目にしても、全く反応を示さない。男の欲望を強く掻き立てる白い乳房の躍動など意に介さず、ただヘレンを庇うように戦闘員達の前に立ちはだかっていた。
「人間の自由と平和を守る。そんな戯言のためにこんなところまで飛ばされて来た、哀れな鉄砲玉だ」
「鉄砲玉って、そんな言い方……! 仲間の方々に対しても、あなた自身に対しても、あまりに酷ではありませんか!?」
「知ったことか、事実だ」
その皮肉めいた白々しい声色と突き放すような言葉遣いに、ヘレンはコートを羽織りながらもムッと眉を吊り上げる。そんな彼女の様子にため息をつくもう1人のライダーは、優雅な佇まいで一礼しつつ、艶やかな声色で語り掛けていた。
「済まないね、美しき捜査官殿。彼はどうにも、紳士的な振る舞い……というものが絶望的に不得意なのだよ」
「は、はぁ……」
白銀に煌めくボディと、赤いタイヤ状のパーツを特徴とする「仮面ライダーGNドライブ」こと、上福沢幸路。彼の気障な振る舞いに胡散臭さを覚えていたヘレンは、コートで身体を隠しながら桃尻を擦って後退りしていた。
「やかましいぞ、上福沢。癪に触る態度しか見せんお前にだけは言われたくない」
「それはいつものことじゃないか。それとも……静かな僕がお好みかい? 森里君」
「……今の発言は撤回する。大人しいお前など気色悪くて敵わん」
「ふふっ、僕に対する理解が一層深まったようで実に何よりだ。面白い男だね、君は」
ノバ
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