凶兆編 仮面ライダータキオン&エージェントガール 前編
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――2021年3月23日。北欧の最果てとも呼ばれている某国の首都、「エンデバーランド」。
曇天の空に見下ろされているこの大都市は今、阿鼻叫喚の煉獄に飲み込まれていた。銃声、悲鳴、そして怒号が鳴り響く街道を逃げ惑う人々の多くは我を失い、パニックに陥っている。
「きゃあぁあーっ!」
「に、逃げろぉおっ! ノバシェードだ、ノバシェードの奴らが現れやがったんだっ!」
街中で突如武装蜂起を開始した、人ならざる「改造人間」で編成された愚連隊。「ノバシェード」と名乗る彼らのテロに巻き込まれた人々の絶叫が、街全体に轟いていた。
世間からの迫害と排斥に晒され続け、居場所を持てず彷徨い歩くしかない改造被験者達は、どこにでも居る。そしてどこにでも居るからこそ、彼らは人間達の日常に紛れ込み、牙を研いでいたのだ。
行き場がないアウトローだけではない。世界各国の正規軍の中にすら、裏でノバシェードと繋がっている者がいる。そのルートを通じて得た彼らの銃器が人々を襲い、この街を狂気の渦に叩き込んでいた。
「ほらほらァッ! さっさと逃げないと俺達の弾に当たっちまうぜぇ!? 哀れで脆く、愚かな人間共がよォッ!」
「小突けばくたばる脆弱な雑魚共が、寄ってたかって俺達改造人間を迫害しやがって! その罪はてめぇらの命で精算しやがれッ!」
ノバシェード構成員の証である、独特の野戦服に袖を通した無数の男達。彼らの手に握られた黒塗りの突撃銃――「M4カービン」が火を噴き、無辜の民衆の背中に弾丸の嵐を浴びせている。
だが、彼らにとっては「無辜」ではない。旧シェードが原因で改造被験者となり、改造人間の「失敗作」として見捨てられた彼らは、人間社会からも存在を拒絶されて今に至っている。
シェードではないというのに、自分達も被害者だと言うのに、誰もそれを認めない。ならば、「本物」になるしかない。そのように追い詰められた彼らの「結論」こそが、ノバシェードという組織に顕われているのだ。
この世の誰にも、自分達を糾弾する権利などない。正義の名の下に自分達を断罪しようとする者が居るのなら、そいつらこそが真の悪。
その過激な思想に傾倒した彼らに、人間の声など届くはずもなく――制止を呼び掛けた現地の警官隊も正規軍の即応部隊も、瞬く間に蜂の巣にされてしまった。
失敗作と言っても、それは旧シェードの要求スペックに満たなかったからそう呼ばれているに過ぎない。当たりどころによっては通常兵器の銃弾でも斃れる程度の耐久性ではあるが、やはり運動能力においては人間のそれを遥かに超越しているのだ。
常人の照準速度では到底追い付かない疾さで複数同時に突撃して来る上、急所に当たらなければ命中しても倒れない。そんな超人兵士達が徒党を組めば、並の警
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