特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第22話
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ていた。
しかし番場総監もその可能性については想定しており、ライダー達の弱点を狙おうとした卑劣な作戦は、ほとんどが失敗に終わったのである。
その中で唯一、成功してしまったケースが――鳥海穹哉の家族であった。警視庁の監視網を潜り抜けた戦闘員が、彼の不在を狙って自宅に火を放ったのである。
最愛の妻と小学生になったばかりの息子を喪った彼に遺されたのは、初めての運動会に挑戦した記念にと、息子が学校から貰っていた「赤い鉢巻」だけだった。
警察官と言えども、常人の精神力ならば心を折られてもおかしくない悲劇。だが彼はそれでも、息子の形見と共に戦いを続けたのである。
彼は誰に対しても悲しみを見せず、何事も無かったかのように振る舞い。憎しみと嘆きを押し殺し、警察官として、仮面ライダーとしての使命に邁進し続けたのだ。その仮面の下に、あるがままの涙を隠して。
先ほどまで番場邸で催されていた彼の誕生日パーティーも、そんな彼の胸中を慮っていた忠義・ウェルフリットの呼び掛けによるものであった。
いつ妻子の後を追ってもおかしくない状況にある彼を案じ続けていたからこそ、21人の仲間達は気を遣わせないように何も知らない振りをして、あの場所に集まっていたのだ。結果としてその呼び掛けが、この戦いにおいては図らずも功を奏していた。
そして――そんな彼の存在は、エインヘリアルこと山城一の人生そのものを否定していたのである。
76年前の太平洋戦争末期。海軍大佐として神風特別攻撃隊を指揮していた当時の彼は、かつての部下だった間霧陣少尉をはじめとする、多くの若者達を「特攻」に送り出していた。
その中には、間霧と同世代だった彼の息子も含まれていたのである。アメリカ軍の侵攻を僅かでも食い止めるため、彼はそれが正義なのだと信じて、我が子すらも死地に追いやっていたのだ。
戦後、彼が死に場所を求めていたのは、己の正義を否定されたことだけが理由ではない。息子を犠牲にしていながら、その「報い」を受けることなく生き残ってしまった己が、誰よりも何よりも許せなかったのだ。
その苦悩の果てに改造手術を受け、怪人に堕ちていた彼にとって――鳥海穹哉の存在は、到底受け入れられないものであった。
己の無力さが我が子を殺したというのに、彼は折れることも堕ちることもなく、むしろその悲しみすらも糧にして前に進もうとしている。そんな鳥海穹哉の姿は、山城一の人生そのものを否定していると言っても過言ではないだろう。
だからこそ。そんな彼こそが、山城一という男を終わらせる「執行人」に相応しい。少なくとも山城自身は、そう考えていた。
そして、その2人がこの戦地で巡り合った瞬間には――こうなることはもはや、運
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