特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第21話
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いた。
「どんな状況でも、生き延びるための歩みを止めてはいけない。18年前のあの日、あんたに教わった言葉だ。あの言葉があったから、俺はあのイラク戦争からも生き残ることが出来た」
「……覚えていてくれたのね」
イラク戦争の地獄を経験して来たジャックの言葉に、ケルノソウルは静かに微笑を溢す。その言葉は――幼き日のプリヘーリヤ・ソコロフに、亡き母が遺した最期の教えでもあった。
ソビエト連邦からの亡命の途中、追撃の銃弾に斃れた母が娘に託した唯一の遺言。その教えは彼女を通じて、USAことジャックにも引き継がれていたのである。
「でも、今のあなたが進もうとしている道は、ただ生き延びるためだけのものではないわ。死への恐怖と向き合い、その先に在る活路を見出した者にだけ開かれる道」
「あぁ。俺はもう……自分が生き残ることだけで精一杯だった頃の俺じゃない。俺自身はもちろん、俺の仲間達も誰1人として死なせない。部隊全員で生き残り、全員で勝利を分かち合う。そしてそのためとあらば、火中にだろうと飛び込んで見せる」
「それを実現することで、私の教えを超えて行く。あなたにとってこの戦いは、そのためでもあるのね。……けれどそれは、あなたが思う以上に『茨の道』よ。あなた自身に、火中からも生き延びられるだけの素養が無ければ……そのまま業火に焼かれて終わる」
「全て覚悟の上さ。……行くぞ、ソコロフ。あんたの教えが育てた兵士が、どれほどのものになったか……とくと思い知れッ!」
過去の思い出を名残惜しむような声色での、短い語らいを経て。全ての迷いを断ち切るように、USAは地を蹴ってケルノソウル目掛け突撃して行く。
そんな彼を返り討ちにするべく、ケルノソウルも大顎を開き火炎放射を繰り出そうとしていた。無数の触手を全て床に突き刺し、姿勢制御に注力させている彼女は、次の放射で決着を付けようとしている。
その大顎に充填されて行く灼熱の業火が、これまでとは比較にならない火力であることは、文字通り火を見るよりも明らかであった。
この猛炎がニューススタジオ内で解き放たれれば、間違いなくこの屋内にいる全員が焼き尽くされることになる。仮に炎そのものに耐えられたとしても、一酸化炭素中毒は必至。
USAは何としても、この火炎放射を食い止めなければならなくなっていた。その使命を理解していた彼は、発射の瞬間を迎えていたケルノソウルに向かって飛び掛かり――渾身の力を宿した右拳を振り上げる。
「――ッ!」
「ライッ……ダァァアッ! スマァアァアァッシュウゥウッ!」
そして。最大火力の火炎放射が、ケルノソウルの大顎から爆ぜる瞬間。
USAは微塵も躊躇うことなく、その大顎に向けて右拳を突き入れるのだった。刹那、大顎から解き放たれた猛炎が装甲もろと
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