特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第18話
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トが千切れることはなく。RCは自分が殴り飛ばしたマス・ライダーに引っ張られる形になったのだ。
――全ての制御コードを引き千切られてしまうほどにまで。
「……!? ア、ガァ、アッ……!」
始祖怪人の中でも最強と謳われるほどの圧倒的なパワー。それを逆手に取られたRCは、文字通りの「糸の切れた人形」として倒れ伏してしまうのだった。
結果的には、マス・ライダーの作戦勝ちと言えるだろう。だが、その「策」を仕掛けた彼の方も無事では済んでいない。
「あっ、ぐっ……うぁあぁっ……!」
ようやくワイヤーネットガンを手放した彼は、仰向けに倒れたまま呻き声を上げており、そこから動けなくなっていた。
自分を殴らせることによって、強制的にRCのボディを制御コードの範囲外に引っ張り出す、というこの作戦。
これは、山口梶の両腕を犠牲にしなければ成り立たないものだったのだ。
当然ながら、RCの制御コードが千切れるほどの衝撃は、ワイヤーネットガンとそれを握る梶の両腕にも集中する。
そしてこの作戦を成功させるには、軸となるワイヤーネットガンから手を離すわけには行かなかったのだ。例え、両腕の骨が粉々に砕けることになろうとも。
――実のところ、梶がこの作戦に出る可能性については、LEPの想定内にも含まれていた。が、これまでのデータからLEPは、彼がその作戦を遂行し切ることはないと判断していたのである。
LEPが過去に対峙して来た人間達は皆、極限状態の先に行き着いた結果、「我が身可愛さ」や「自暴自棄」の感情を殺し切れなくなっていた。
それらのデータから、LEPは例え梶がこの作戦を実行に移したとしても、途中で衝撃と痛みに耐え切れず、RCの制御コードが切れる前にワイヤーネットガンを手放すだろうと分析していたのである。
脆弱な生身の人間には、惰弱な精神しか宿らない。天地がひっくり返ろうとも、完全なるロボット兵器であるRCがそんな人間に負けることなどあり得ない。
それがLEPの基礎思考であり、「誤算」の元となっていたのだ。マス・ライダーの性能諸元や、過去の装着者達のスペックは把握出来ても、山口梶という男の精神力までは見通せなかったのである。
「……へ、へへっ……! どうだ、案外馬鹿にならないものだろ……!? マス・ライダーはよっ……!」
そして、マス・ライダーの――人間の底力を証明して見せた梶は。砕けた仮面の下で朗らかに笑い、四肢を投げ出すのだった。
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