特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第16話
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でいる。
「はぁあぁあぁあーッ!」
「ぐが、ぁあッ……!?」
だが、そのチャンスが彼に訪れることはなかった。
踵落としの要領で、上段から袈裟斬りを放つ「ヘルスラッシュ」の一閃は――白のマントを貫通し、アルコサソの胸を切り裂いてしまったのである。
カウンターを繰り出す余力など一切与えず、完膚なきまで叩きのめす一撃必殺。その一閃は、毒針も遺伝子操作ビームも出せなくなるほどの、絶大なダメージを齎したのだ。
「がっ……は、あッ……!」
必殺の刃を受けたアルコサソは仰向けに倒れ、反撃のために蠢いていた触手も力尽きたようにしなだれて行く。すでに限界に達していた右腕の爪も、粉々に崩壊していた。
尻をEXに向けるような姿勢でひっくり返っていた彼の両足が、一拍遅れて地面に投げ出されて行く。
この一騎打ちを制した勝者がEXであることを、その光景が如実に語っていた。
やがてアルコサソとしての姿を保つ力も失われ、その外骨格が崩れ落ちた頃には――アシュリー・フォールとしての「正体」が晒されていた。
「……ははっ。これが……ボクに相応しい、『末路』と『報い』ってことか……」
変身が解け、ありのままの姿に戻されたことを悟ったアシュリーは、自分の白い手を一瞥して乾いた笑みを零す。
そんな彼の自虐的な姿を目にしたEXは、力尽きたように膝を着きながらも、仮面の下で切なげな表情を浮かべていた。
やがてEXのボディも限界に達したのか、その外骨格がボロボロと崩れ落ちて行く。
装着者である久我峰美里の美貌と、汗ばんでいるスレンダーな肢体が露わにされたのは、それから間もなくのことだった。反重力光波を受けた時点で、スーツの耐久力はとうに尽きていたのだろう。
最低限のインナーとスパッツだけに包まれた、引き締まった白い肉体。その珠のような柔肌にじっとりと滲む汗は、彼女の肢体に宿る蠱惑的な香りをむわりと漂わせていた。
外骨格の内側で熟成されていた、芳しい戦乙女の芳香。その扇情的かつ濃厚な匂いが、彼女の肉体が感じていた極限の昂りと緊張感を物語っている。
「……不思議なものだね。ついに君を討てたというのに……期待していたほどの高揚感も無ければ、達成感も無い。在るのは……虚しさと、憐れみだけだ」
「憐れみ? ……ボクがそんなに、惨めに見えるのかい」
「あぁ……今なら分かるよ。君か……君達という存在が、いかに憐れなものだったのか」
12年前の雪辱を果たしたことで、命を落とした同僚達の無念は確かに晴らされた。だが、その先に在ったのは深い憐れみであった。
アシュリーの弱り切った姿が、そのような気持ちにさせているのか。憂いを帯びた貌を露わにした美里は、あれほど憎んでいたはずの宿敵を切なげに見つめている
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