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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第13話
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は無縁そうな少女の姿だが。一度戦闘が起これば異形の怪物「ケルノソウル」へと変身し、圧倒的な火力で敵を蹂躙する。
 そんな彼女は戦闘においては頼りにされる一方で、化け物と陰で謗られることが当たり前となっていた。

 その当たり前が、ジャックには通じなかったのだ。それは、罵詈雑言を浴び慣れていたソコロフにとっても初めての経験であった。
 いつしか2人は、全ての垣根を越えた戦友として信頼し合うようになり。当時のアメリカ大統領による大規模戦闘終結宣言が発表されるまで、この戦争を最後まで生き延びたのだが。その日を境に姿を消した彼女が、次に現れた時は――世界に仇なす「怪人」となっていたのだ。

「俺はただの人間だけど、それでもあんたのように強くなりたいと……本気で思っていたんだ。そのあんたが、なんてザマだ……!」
「……これでもあなたには感謝しているのよ、ジャック。あなたと過ごしたあの日々は、まるで人間の頃に戻れたかのような夢心地だった。あなたほど、私という『人間』を肯定してくれた人は居なかった」
「だったらどうして、俺の前から姿を消した! 何故、本物の『怪人』になった! 何故今になって……俺の前に現れたんだ!」
「それは私にも分からないわ。……でも、起きてしまったことに理由を与えることは出来る。私はきっと、あなたと戦うことで……私自身の全てを精算するために蘇ったのね」

 ソコロフにとっても、ジャックとの友情が嘘だったわけではない。どこまでも「人間」として向き合おうとしていたジャックの存在は、彼女にただ1人の人間(プリヘーリヤ・ソコロフ)としての思い出を残してくれたのだ。
 それでも。世界が改造人間の恐ろしさを正確に認識し、許されざる存在であると定義した時点で。彼女は、幸せな思い出に浸るわけにはいかなくなってしまったのである。

 年を追うごとに急速に発展して行く、情報社会の成長。その様子から、いずれ来る迫害の未来を予測していたソコロフは、ジャックの前から去るしかなかった。

 そして今、「仮面ライダー」と「怪人」という相容れない宿敵同士として、ジャックの前に現れたのである。
 全ての思い出を置き去りにしてでも、怪人としての己と決着を付けるために。

「さぁ、来なさいジャック。いえ……仮面ライダーUSA。あなた自身が、前へと進むために」
「……分かった。ならば俺が……あんたの全てを、ここで終わらせる。これで最後だ、ケルノソウルッ!」
 
 その想いを汲んだジャックは、仮面ライダーUSAとして。ソコロフことケルノソウルとの決着を付けるべく、その鉄拳を構えるのだった。

「この階層の生命反応は……スタジオに居る俺達のものだけだな。人質らしき反応はない」
「ってことは、さらに上の階で監禁されてる可能性が高そうですね……!」
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