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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第9話
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彼の胸中を、山城が慮っていた。

 生身の人間は、いとも容易く、死ぬ。たった1発の銃弾でも、それ以下の攻撃でも、簡単に死んでしまう。そしてそれは、兵士ですら例外ではない。
 それほどまでに人の身とは脆く、それ故にゲリラ如きを恐れ。徳川清山が売り込んだ改造人間の威力に縋り、どこまでも狂気に堕ちて行った。

 健全な精神は健全な肉体に宿る、という古い言葉がある。それは裏を返せば、肉体が惰弱ならば精神もそれ相応の域にしか届かない、ということでもあるのだろう。
 人間は弱い。弱いからこそ歪な力にも縋り、自ら闇に堕ちてしまう。ならばその惰弱な肉体を捨てねば、人は真に強き精神を得られないのではないか。

 ――このような惨劇を起こしてまで、粗悪な力に縋るような愚者を、この先も生み出してしまうのではないか。
 生前の村人達が自分達に見せた、屈託のない笑顔を思い返す度に。柳司郎は独り、その歪んだ思想を先鋭化させ、より深化させて行く。

「……この国を出たら、清山に提案してみるか」
「提案……? 何をだ」
「奴が計画していた、この会社を原型とする新組織の名だ」

 やがて、柳司郎がぽつりと呟いたその一言に反応した戦馬が、何事かと小首を傾げる。その時の彼は、決意に満ちた表情を浮かべていた。

亡霊(シェード)。安住の地など無く、彷徨うことしか出来ない俺達にはよく似合う名となろう」

 ◆

 ――それ以降、約30年間に渡り。徳川清山は柳司郎達と共に世界各地を転戦する中で、自らが運営する傭兵会社の経営を続けながら、蓄積された実戦データを基に改造人間の技術をより高度に発展させていた。

 1991年のソビエト連邦崩壊により冷戦は終結を迎えたが、紛争が相次ぐ世界はさらに平和から遠退き、改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)が必要とされる場が絶えることはなかった。

 やがて2000年代に入り、時代が「対テロ戦争」に有効な兵器を望むようになると。徳川清山はそのビジネスチャンスに乗じて、さらに事業を拡大。
 対テロ作戦に特化した新型の改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)を各紛争地に投入し、その成果と利権を我がものとした。

 そして、その莫大な収益を原資に。かつての傭兵会社を前身とする、対テロ組織――「シェード」が誕生するのだった。
 首領の徳川清山と実戦リーダーの羽柴柳司郎を含めた17名の創設メンバー達は、総じて「始祖怪人」、あるいは「No.0シリーズ」と呼ばれ、世界各地の紛争地帯で劇的な戦果を上げたのである。

 だが、その栄華も長くは続かなかった。
 組織の実力が証明されてから間も無く、改造人間に関する非人道的な研究の数々が――当時の特捜部を率いていた番場惣太(ばんばそうた)によって、白日の下に晒さ
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