特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第8話
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ぁ、ぎゃあぁああーッ!」
あまりにも凄まじいその威力に、呆然としていた兵士達。
彼らはその動揺故に逃げ遅れてしまい――そのまま転覆した戦車の「下敷き」にされてしまうのだった。
ひっくり返った戦車の底から、血の池が広がっている。その様子を一瞥したDattyは、満足げに鼻を鳴らしていた。
「あー……スッとしたぜぇ。ゲス共には似合いの墓標だろう? ……なぁ? 大将」
「ひっ……!? ぎ、ぎいやぁぁあっ!」
陽炎の中で妖しい輝きを放つ、Dattyの青い複眼。その大きな双眸は、すでに隊長格の男を捕捉していた。
Dattyと視線が交わってしまった隊長格の男は、恥も外聞もなくこの場から逃げ去って行く。その先に居る者を知っているDattyは、敢えて追うことなく彼の背中を見送っていた。
「……チッ、最後の最後まで情けねぇ野郎だ。弱い奴ってのは、これだから嫌いなんだよ」
彼は忌々しげな声色で、隊長格の「醜態」に舌打ちしていた。その脳裏には、これまで彼が叩きのめして来た「群れるしか能のない弱者達」の醜い姿が過ぎっている。
――戦後、横須賀で生まれ育った間柴には父親が居なかった。進駐軍に所属していたアメリカ軍兵士であることしか分からず、彼は実の父親の顔すら知らないまま、母親と2人で生きて来た。
貧しい暮らし、肌の色。そんな理由で迫害を受けていた彼は、母親が病死するまでひたすら喧嘩に明け暮れていた。
そして天涯孤独となった彼はやがてボクシングの道に進み、プロボクサーとして活躍するようになったのである。
だが、日本人初のヘビー級世界王者という快挙に届く直前――多くの対戦相手から恨みを買っていた彼は闇討ちに遭い、ボクシングが出来ない身体にされてしまったのだ。
群れるしか能のない、醜悪な弱者達。間柴はそんな連中に、栄光の未来まで奪われたのである。そんな彼の前に現れたのが、徳川清山だったのだ。
彼の手で改造人間として蘇った彼はもう、プロボクサーとしての表舞台に戻ることはなかったが。「醜悪な弱者達」に然るべき「報い」を受けさせた彼は、悔いることなく改造人間の傭兵の道に身を投じたのである。
上等な料理、酒、女。それらを求める快楽至上主義者にとっては、人間としての尊厳など軽いものだったのである。
どんな生き方であろうと、自分らしく最後まで生きる。それが間柴健斗の生き様であり、死に様なのだから。
◆
「ひぃ、ひぃっ……! どういうことなのですか、ザン大佐……! あの村ごと奴らを砲撃すれば、皆殺しに出来るのではなかったのですかっ……!」
アッパーカットで大型戦車を転覆させた、Dattyの凄まじいパンチ力。その一撃を目の当たりにした隊長格の男は、青
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ