特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第7話
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ていう可能性にも賭けていたんだよ。その賭けは、どうやらボクの負けだったようだけど……ね」
その異様な姿を目の当たりにした兵士達は、恐怖に飲まれながらも突撃銃を乱射する。アルコサソは白いマントを翻し、彼らの銃口から放たれる弾雨をその1枚で軽やかに凌いでいた。
後頭部下方の触手先端に備わっている毒針が、兵士達の1人に突き刺さったのはその直後だった。強烈な神経毒によって一瞬のうちに倒れ伏した兵士は、そのまま痙攣するばかりとなっている。
臀部上方の尻尾先端に付いたラッパ状の部分は音波兵器の役割を持っており、腰に巻いた状態から解かれたその兵器は、最大出力の衝撃波で周囲の敵兵達を吹き飛ばしてしまうのだった。
「ひ、ぃ……!」
「ば……化け物め……!」
それでも生存していた者達は、腰を抜かしながらも必死に引き金を引き続けている。
だが、彼らを冷たく見下ろしながら歩みを進めるアルコサソは――腰のベルト状になっている部位のバックル部分から、長い馬上槍を引き抜いていた。
それが、1人も逃さないという意思表示であることは明らかだった。
「や、やめっ、助けッ――あがッ!」
「今の1発で、ボクもよく学んだよ。……君達を、もう人間だとは思わない。ボクらと同じ、いやそれ以上の怪物と見做して……相応しい『末路』を与えてあげる」
彼は突撃銃の弾丸を弾きながらゆっくりと距離を詰め、1人ずつ念入りに、その顔面に槍の切っ先を突き立てて行く。罪無き命を軽んじる者達を、尊重する価値などないのだと言わんばかりに。
――中欧に位置する、とある連邦国家。そこで生まれ育ったアシュリー・フォールが全てを失ったのは、1960年代に母国で起こった変革運動と、それに伴うソビエト連邦軍の軍事介入だった。
彼もまた、冷戦というこの時代に運命を狂わされた1人だったのである。身寄りを失った彼が独りで生きて行くためには、その美貌を活かして行くしかなかった。
徳川清山と羽柴柳司郎に出会い、改造人間の傭兵として生きる道を選んだ彼は、怪人アルコサソという冷酷な殺戮者に堕ちるしかなかったのである。
例えいつか、この殺戮に対する報いを受ける日が来るのだとしても。せめてその時までは、両親の分まで生き抜くために。
「……つくづく嫌になるね。ボクら以上に、怪物染みてる奴らを見るのは」
断末魔が終わり、自分の周囲が静かになった頃。殺戮を終えたアルコサソは夜空を仰ぎ、力無くそう呟いていた。
自分という存在に終わりが訪れるのは、一体いつになるのだろうか――と。
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