特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第6話
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脳されたようだぞ! 撃たれる前に撃ち殺せぇえぇッ!」
「ち、違う! 俺達は操られてなど……ぎゃあぁあッ!」
「ちくしょう……! こうなったら、お前らから殺してやるッ!」
「あぐッ!? 奴ら、撃ち返して来やがった……やっぱり洗脳されてるんだ! やられる前に……やるしかねぇッ!」
同じ国防軍の兵士達であるはずの彼らは、互いに憎しみ合い、銃を向け合っている。最初に同胞を撃った「裏切り者」の行方すら忘れ、彼らは見えるもの全てを敵と認識するようになっていた。
「いいぞ……実に賑やかだ。戦場とは常に、こうでなくてはな。この混沌、怒号、断末魔……実に良い。俺の空白に、充足を与えてくれる」
そんな兵士達の混乱を遠巻きに眺めている紅衛校は、満足げな笑みを浮かべて夜空を仰いでいた。レッドホースマンも同様に、兵士達の同士討ちにほくそ笑んでいる。
――実際のところ。紅衛校にもレッドホースマンにも、他者を操る能力など無い。彼らはただ、ほんの少しの「出まかせ」で混乱を煽ったに過ぎないのである。
これほど常識外れな怪物ばかりならば、洗脳能力の類も備わっているのではないか。そんな兵士達の不安に付け込んだ、ただのハッタリだったのだ。
最初に兵士達の1人を撃ち、混乱のきっかけを作った「裏切り者」。それは兵士達の中に紛れていた、怪人側の伏兵だったのである。
彼の発砲から始まった疑心暗鬼に乗じた紅衛校とレッドホースマンは、洗脳能力があるかのように装い、兵士達の「同士討ち」を誘っていたのだ。そして兵士達は、見事なまでにその術中に嵌まってしまったのである。
それが怪人達の策略であることなど知る由もなく、彼らは次々と仲間の銃弾で倒れて行く。紅衛校の隣に立っている1人の怪人は、静かに腕を組んで「同士討ち」の様子を静観していた。
「……無様だな。実に無様だ」
この男の「能力」こそが、国防軍兵士に扮していた「裏切り者」の正体だったのである。
彼が自身の能力で作り出した「分身」が兵士達の中に紛れ込み、混乱の引き金を引いていたのだ。彼の意のままに動く分身が兵士達に向けて放った1発の銃弾が、この「同士討ち」の元凶だったのである。
「しかし……私の『能力』を随分と利用してくれたな、紅衛校。その若さで、油断ならない男だ」
全身が漆黒で統一されたマネキンのような姿を持つ怪人――プラナリアンこと、波田水過。
分裂能力により無尽蔵に「分身」を作り出せる彼は、自身の能力を利用して大混乱を起こした紅衛校の手腕に嘆息しているようだった。
そんな彼を一瞥する紅衛校は、「頼もしい戦友」の肩を気さくに叩き、重機関銃の再装填を始めている。どうやら、先ほどの掃射で弾倉内の弾を撃ち尽くしていたらしい。
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