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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第6話
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「ひ、ひぃっ、ひひぃっ……!」

 ブレイズキャサワリーの爪攻撃に恐れをなし、逃走を図る隊長格の男。他の怪人達はその動向を捕捉していながら、敢えて即座に狙おうとはしなかった。

 敵に背を向け、部下や仲間を見捨てて逃げ出すような敗残兵など、いつでも殺せる。それに、この一帯を包囲している森林火災から、生身の人間が逃れる術などない。
 ケルノソウルの火炎放射がこの大火を招いた時点から、すでに彼らの「末路」は決まったも同然なのである。故に誰も、わざわざ追おうとはしないのだ。

 非力な人間風情が改造人間を侮った瞬間から、勝敗の行方は決しているのだから。

「……どうして、戦いを止めない。なぜ殺す。なぜ戦いを続ける。何故だ……何故だ」

 10本の角と7つの頭を持つ異形の怪人――トライヘキサことジョン・ドゥも、その判断を下した1人だった。
 この国で生まれ育った戦災孤児である彼は、反政府運動の動乱に巻き込まれ死に瀕していた。彼もまた、改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)に成らねば生きられなかったのである。

 何故、奪い合うのか。何故、殺し合うのか。その理由を問う暇もなく両親を殺され、その意味を理解する歳まで、人として生きることすら叶わず。彼は運命に翻弄されるがまま、異形の怪物と成り果てていた。

 そんな理不尽に対する、煮え滾るような憤怒。その猛火を、8歳の少年の瞳に見た徳川清山は――名無しの死体(ジョン・ドゥ)同然だった彼を改造し、その憤怒を存分に発露出来るだけの「力」を授けたのである。

 それが厚意による救命だったのか、体のいい人体実験に過ぎなかったのかは、清山にしか分からない。
 だが少なくともジョン自身は、トライヘキサの力を与えた清山を実父のように慕い――彼の手足となって戦う道に身を投じている。禍々しい人型の獣と化した彼は、清山の尖兵として幾度となく両手の爪を振るって来たのだ。

「な、なんだこの化け物……! 10本の角に、7つの頭……!?」
「まるで、黙示録の獣じゃあないか……!?」

 そんなジョンことトライヘキサの異様な姿に、兵士達は慄きながらも銃口を向ける。だが、彼らの突撃銃がどれほど火を噴いても、獣の怪人がその歩みを止めることはない。

「俺の問いに答えろ……答えないのなら……!」
「う、撃てぇええッ!」

 弾雨をものともせず、ジリジリと迫り来るトライヘキサの獰猛な貌が、兵士達の視界を埋め尽くした時。振り上げられた両手の爪が――愚かな侵略者達を、粉々になるまで切り刻むのだった。

「が、あぁッ……!?」
「……俺が、『報い』を受けさせる……!」

 鮮血に塗れ、然るべきを「報い」を受けた兵士達は、物言わぬ骸となって獣人の足元に倒れ伏して行く。その屍の山を踏み越え
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