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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第1話
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で――自分達の方が、強力な兵器を向けられているかのように。

「……貴様らに一つ、『報告』しておくことがある」
「な、なにぃ……!?」

 そんな歩兵達を怜悧な眼差しで見渡した後、黒コートの青年は低くくぐもった声で小さく呟く。彼がただ口を開くだけで、歩兵達はびくりと後ずさっていた。
 その様子を見遣りながら、青年は言葉を紡ぐ。声色は静かなものであったが、その奥には深く煮詰まったような怒りと殺意が込められていた。

「このツジム村は反政府ゲリラの巣窟である。国家を脅かす反乱の芽を摘むべく、速やかに当該集落を殲滅されたし……それが貴様らの依頼だったが、その『前提』に誤りがあったようだ」
「誤り……!? ふん、このツジム村にゲリラなど居なかったということか!?」

 この国の国防軍である歩兵達は、自分達が雇った傭兵である青年の「報告」に怒号を上げる。「反政府ゲリラの撃滅」という依頼に応じてこのツジム村に来ていた青年によれば、そもそもゲリラなど1人も居なかったというのだ。

 だが、歩兵達はその報告内容を全く疑っていない。
 彼らは最初から、依頼そのものが「でっち上げ」であることを知っていたのだから。

「その通りだ。……やはり貴様ら、初めから承知の上で俺達を送り込んでいたのだな。先ほどの砲撃はさしずめ……俺達への報酬代わりというわけか?」

 このツジム村にゲリラなど居ない。であれば早急に村を離れねば、無辜の民間人達が本当に戦闘行為に巻き込まれてしまう。

 その懸念を胸に、青年とその「仲間達」が村を去った直後のことだったのだ。国防軍による砲撃と火炎放射が村を焼き、人々を焼き払ってしまったのは。
 そして急いで戻って来てみれば、この地獄絵図が広がっていたのである。この虐殺がゲリラの類ではなく国防軍の陰謀だったことは、正規兵達の存在が明らかにしている。

 銃口など意に介さぬまま、青年は焼け焦げた少女の遺体の前に膝を着き、その黒ずんだ頬を撫でている。村に現れた自分達を、何も知らぬまま笑顔で出迎えていた可憐な少女は今、無惨な消し炭と化していた。

「そこまで理解しているのであれば……我々の真意などいちいち訊くまでもなかろう。さぁ……楽に殺して欲しくば、さっさと仲間達の居場所を吐け! 羽柴柳司郎(はしばりゅうじろう)ッ!」

 「人ではない怪物の身」でありながら、人間と同じように死者を儚んでいる青年――羽柴柳司郎。
 そんな彼の「人間のような姿」に嫌悪感を露わにしながら、歩兵達を率いる隊長格の男が、柳司郎の後頭部に銃口を押し当てる。

 ――国籍はおろか、生身の身体すら持たない怪物の分際で、人間の振りなどするな。そう、言わんばかりに。

「うッ……!?」
「……人であることを捨てた今、その名で呼ばれるの
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