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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第1話
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 ――これは「仮面ライダー」と「怪人」に纏わる運命を巡る、「最初」で「最期」の物語。

 ◆

 20世紀後半――その当時、世界は今以上に混沌を極めていた。

 第2次世界大戦の爪痕を癒す間も無く、東西冷戦を契機とする数多の紛争が世界各地で巻き起こり、絶えずこの世界を乱していたのである。
 日本国内に限れば、戦争の無い時代だったのかも知れない。だが、その島国を囲む大海を越えた先では――血で血を洗う凄惨な殺し合いが、果てしなく繰り返されていた。

 その戦火の波は時として、決して侵されてはならない領域にまで及んでいた。紛争や内戦に加担などしていない無辜の民ですら、否応なしに煉獄の炎に焼かれていたのである。

 ◆

 ――1974年9月某日。
 アジア大陸、某国森林部ツジム村。

 国境線付近に広がる森林地帯の最奥にある、小さな集落。
 争いとは無縁であったはずのその秘境は今、天を衝くほどの業火に飲まれた地獄絵図と化していた。深夜であるにも拘らず、猛炎に照らされたこの森の空は、真昼のように明るい。

 老若男女を問わず、殺し尽くされた村人達。彼らは例外なく黒ずんだ焼死体と化し、炎の海に飲まれた村の各所に放り捨てられている。
 その骸を無遠慮に踏み付け、周囲を荒らし回っている歩兵達は、「何か」を血眼で探しているようだった。

「おい、見つかったか!?」
「いえ……! 『奴ら』の死体が、どこにもありませんッ!」
「そんなはずがあるか……! 我が軍の砲撃から逃れたとでも言うのか!? 何としても見つけ出せッ!」

 彼らが探しているのは、死体。だが、それは村人のものではないのだろう。
 足元に転がる夥しい数の焼死体には目もくれず、彼らは「人であって人ではない」者達の遺体を探し続けていた。

「……!?」

 すると、自分達のものではない「生者」の気配に気付いた歩兵達が足を止め、一斉に銃口を炎の向こうへと向ける。

 陽炎を踏み越えるように現れた黒コートの男が、炎の熱など意に介さず歩兵達の前に歩み出て来た。
 精悍な顔付きを持つ筋骨逞しいその青年は、何人もの兵士達から突撃銃(アサルトライフル)――AK-47を向けられているのにも拘らず、全く怯んだ様子がない。

「い……居たぞ、奴だッ! やはり死んではいなかったというのか……!」
「貴様の仲間達はどこだ! 吐かねば撃つぞッ!」

 黒コートの青年を見つけた歩兵達の叫びに応じて集まった増援が、彼を一斉に包囲する。

 突撃銃で武装した彼らに対し、囲まれている青年の方は全くの丸腰。
 その光景だけで判断するならば、双方の戦力差は圧倒的なのだが――何故か数でも装備でも優っている兵士達の方が、「死」への覚悟に肩を震わせていた。

 まる
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