暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第149話:その心は金剛より硬く
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が紛れており、それが起爆した事でクリスの両親は命を落としたのだ。勿論ソーニャは自分が持ち込んだ物資の中に爆弾が混じっているなど知る由もなく、彼女も結果的には被害者なのだが幼いクリスにとってはソーニャが全ての原因であった。
 ソーニャ自身も知らなかったとは言え、自分の行動がクリスの両親の命を奪ってしまった事実に何も言い返せず涙を流すだけであった。

 そんな2人に否と唱えたのが透であった。

『クリスッ!? そんな事言っちゃ駄目だッ!? ソーニャだって知らなかったんだッ!?』
『何でッ!? だって、ソーニャが持って来た――――』
『かもしれない。けれど、それでソーニャを責めるのは間違ってるッ!……違うんだよッ!!』

 必死にクリスを宥めようとする透の目からも、涙が溢れていた。家族ぐるみで付き合いのある雪音夫妻の死は、彼にだって辛い。その原因がソーニャの持ち込んだ荷物にあると言うのなら、彼女に怒りが向きそうになるのも仕方がない。
 だが透は、そんな安易な思考で自分の心を慰める事をしたくなかった。それは、彼の母への侮辱にも繋がるからであった。

 故に、透は悲鳴を上げる自分の心を幼いながらに律し、クリスを叱り付ける様に宥めたのである。

 その時の事を思い出し、クリスは束の間表情を和らげる。

――思えば、透に叱られたのって……あれが最初で最後だったっけな――

 1人感傷に浸っていると、見ていられなくなったのか翼が声を掛けてくる。

「……昔の事か?」
「ッ!……あぁ! 昔の事だ、だから気にすんな」

 翼が心配してくれているのが分かったクリスは、努めて何でもないように振る舞おうとした。だがそれでも、思い出された嫌な思い出に?き乱された心の痛みは隠し通せるものではなかったらしい。翼は変わらぬ表情で言葉を続けた。

「詮索はしない。だが今は前だけを見ろ。でないと……」

 でないと怪我だけでは済まない事になる。そう続けようとしたところで透が自分の胸を叩いた。翼が見ると、透は大丈夫と言う様に力強く頷いて見せた。その姿に翼はフッと肩から力を抜いた。

「そうだったな。北上が居れば――――」

 その時突如ジャングルの木々の間を眩い光が突き抜けてきた。目を眩ませながらそちらを見ると、武装した車両らしきものがサーチライトを向けてきていた。どうやら敵のパトロールに見つかってしまったらしい。

 車載機銃からの掃射が行われるが、照らされた時と同じく唐突にサーチライトの光が消えた。パトロールの存在に気付いた颯人が、ウィザーソードガンでサーチライトを撃ち抜いたのだ。光源を失い、再び闇に閉ざされたジャングル。ボートを見失った事で、機銃からの銃撃が止んだ。

 この隙に装者達がシンフォギアを纏い、颯人と透も変身す
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