第五章 トリスタニアの休日
第七話 狐狩り
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……」
「ふ〜ん……で?」
椅子代わりにベッドの上に座る士郎を挟むように、ルイズとアンリエッタが座っている。二人に挟まれる士郎の顔色は悪い。アンリエッタは士郎に身を寄せ、頬を染めながら見上げ、ルイズは士郎の服と共に脇腹の肉を掴みながら身体を寄せている。そしてそれを目の前に立つアニエスが下衆を見るような目で見下ろしていた。
アンリエッタが身体を――胸を押し付ける度にルイズが笑顔と共に脇腹の肉を抓る。
柔らかな肉の感触と共に脇腹に走る鋭い痛みを感じながら、士郎はこうなった状況を思い出す。
『魅惑の妖精』亭に戻った士郎たちが仕事をしていると、アンリエッタとアニエスが現れたのが始まりだった。二人はリッシュモンの裏切りの詳細を説明すると、二階の部屋を借りると、士郎たちと共に中に入った。アンリエッタがルイズに情報収集のお礼や事件の詳細を説明しているうちは良かったが、アンリエッタが世話になったと頬を染めながら士郎にお礼を言った時から可笑しくなっていく。
きちんと部屋に備え付けられていた椅子から離れると、わざわざ士郎が座るベッドの横に座ったのだ。さらに士郎の膝に手を置き見上げてくるなど、ただならぬ雰囲気を漂わせ始めると、ルイズも同じように士郎の横に座った。
そして、それからアンリエッタとルイズの攻防が始まったのだ。
「シロウさんは本当に優しい人です」
「そうよね〜お人好しだからどんな人にもいい顔するのよね〜」
「……痛い痛い」
「それだけでなく、とても……その……お強くて」
「……何が? ねえ、何が強いのかな?」
「……なぜ俺に聞く」
アンリエッタが褒めるたび、ルイズが脇腹を捻りながらにっこり笑いかけてくるのが怖い。
そして正面に立つアニエスのこちらを見る目も怖い。
何とかこの状況から脱出しなければと、こちらに鋭い視線を向けてくるアニエスに顔を向けた士郎は、
「あ〜……ところでアンリ――姫さま。こちらの女性は?」
「そういえば正式な紹介がまだでしたね」
何とか話題を変えられたかと安堵する士郎に、アンリエッタがアニエスを紹介する。
「わたくしの数少ない信頼する者の一人で、銃士隊の隊長を務めるアニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン殿です。女性ながらその剣と銃の腕前は他の追随を許さないほどです。今回の件では、一度は逃げられた裏切り者をたった一人で見事捕まえたのです。まさに英雄と言われるに相応しい方です」
「裏切り者は優れたメイジでもあったと聞きましたが、それをお一人で捕まえるなんてすごいんですね……まあ、他の実力は低いみたいだけど」
「っ! ……あっあれは!」
「どうかしたのですか?」
ルイズが流し目でアニエスを見て何か呟くと、顔を真っ赤にさせたアニエスが身を乗り出
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