第五章 トリスタニアの休日
第七話 狐狩り
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銃士隊っ! この者を――」
アンリエッタが銃士隊にリッシュモンの捕縛を命じようとするが、それよりも早くリッシュモンは行動を起こす。
「この程度で動揺するとは……だからお前は小娘だというのだっ!」
「なっ?!」
取り囲む銃士隊がリッシュモンを取り押さえようとするが、
「遅い」
床を蹴りつけると同時に、リッシュモンが立つ床がパカリと音を立てて開いた。銃士隊がリッシュモンを確保しようと駆け寄るが、伸ばされた手は間に合わずリッシュモンは床の下に消えてしまう。追いかけようと穴に飛び込もうとするが、それよりも早く床は元に戻った。銃士隊が床に剣を突きたて無理矢理開けようとするが、魔法が掛かっているのか、床は容易には開かない。
「……陛下、如何いたしましょうか」
銃士隊の一人が恐る恐るとアンリエッタに顔を向ける。リッシュモンが逃げた床を睨みつけていたアンリエッタは顔を上げると、必死に床の仕掛けをこじ開けようとする隊員たちに向け指示を下す。
「出口があるはずです! 四名はここで待機! 残りは出口を捜しなさいっ! 絶対に逃がしてはなりませんっ! 急ぎなさいっ!」
『レビテーション』を使いリッシュモンが降りった先は、光が差さない暗闇が広がる地下通路につながっていた。それはリッシュモンが非常時の際における脱出用に造らせた抜け道であった。
魔法で杖の先に明かりを灯したリッシュモンが通路の先に向かって歩き出す。
「くそ、予想外だ。あの女があそこまでやるとは……」
苦々しく呟く。
通路の先は自分の屋敷にも通じている。正体がバレてしまってはここにはいられない。まずは屋敷に戻り、金を持ってアルビオンに亡命する。女王を攫うことは出来なかったが、手土産は他にもある。それを使えばこちらの要求をいくつか聞いてもらえるだろう。一個連隊でも預かることが出来れば、ここへ戻り、あの生意気な小娘を捕まえられる。捕らえたらどうしてやろうか。
くくく……そうだな、女に生まれたことを後悔するほどに辱め、奴隷にし、自ら殺してくださいと申し出るまで責めてやろう。
アルビオンに亡命した後のことを想像しながら歩いていると、魔法の明かりを遮るものがあった。
道を塞ぐように目の前に立つ者に驚き足を止めたリッシュモンは、杖を突きつけ誰何の声を上げる。
「誰だっ!?」
杖を向けたことから、通路に立ち塞がる者の顔を魔法の明かりが浮かび上がらせる。未だ距離があることからハッキリとはその姿が現れはしなかったが、リッシュモンはその姿に覚えがあった。
「……貴様、確かアニエスといったか……」
剣を抜き、目の前に立つ者は、銃士隊のアニエスであった。
平民上がりの近衛隊等覚えるような
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