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星河の覇皇
第八十三部第四章 戦線崩壊その四十九

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「国家元首だからな、むしろだ」
「むしろ?」
「むしろといいますと」
「それは」
「戦争に勝つことは絶対とはいえ」
 それでもというのだ。
「こちらの仕事をおそろかにしている」
「そう言われますか」
「その様に言われますか」
「そうだ、戦闘中は常に司令の席にいる」
 そうして指揮を執っているというのだ。
「それでだ」
「こちらのお仕事は、ですか」
「大統領としてのそれは、ですか」
「おろそかになっている」
「そう言われますか」
「それが無念だ、私はオムダーマン軍最高司令官だが」
 軍人としてはそうであるがというのだ。
「しかしだ」
「オムダーマン共和国大統領でもあられる」
「そのお考えからですか」
「その様に言われますか」
「今は」
「そうだ。それがだ」
 実にというのだ。
「私としてはな」
「無念だと」
「そう言われますか」
「今の様に」
「やはり国家元首は戦場に出るとな」 
 アッディーンは今このことをハサンとの戦いの時以上に感じていた、この時も国家元首として軍を率いて戦場にいたがだ。
「不都合が多いかも知れない」
「他のお仕事が多いので」
「だからですか」
「そう言われますか」
「今の様に」
「実感したからな、連合ではだ」
 この国の話もした。
「国家元首が戦場に出ることはないな」
「はい、決して」
「共和制の国では軍服すら着ません」
「国防の責任者も全て文民です」
「国家元首も含めて」
「文民であるので」
 だからだというのだ、
「どうしてもです」
「戦場に出ることはありません」
「そこはサハラと違います」
「連合でも戦場は軍人が出ます」
「ですが国防の責任者は必ず文民です」
 文民統制、その結果である。
「そして国家元首もです」
「君主は軍服を着ることもありますが」
「それは儀礼です」
「あくまでそれのことです」
「そうだ、文民が戦場に出ることはない」
 決してとだ、アッディーンも言った。
「やはりな」
「あの国においては」
「戦場に出るのはあくまで軍人であり」
「文民は戦場には出ない」
「そのことは徹底していますね」
「よく軍事に疎い国家元首や国防大臣が軍人達におかしなことを言うことがあるが」
 文民統制の問題点である、軍事に疎い者がトップになるとそれで軍事行政に問題が生じる事態に陥るのだ。
 この問題をどうするか、それは軍事への識見を備えている者が国家元首そして国防の責任者に就く様に選挙民が選挙で確かな人物を選ぶことだ。軍事にも選挙は影響するのだ。
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